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シリウスに言わせればこのタペストリーつまりブラック家の家系図に名前が載っている連中は家族ではないんだそうです。そんな中にロドルファス・レストレンジと結ばれているベラトリックス・ブラックという人物がいました。ハリーはその人物の名前を見て・・・(全3項目)

3-1.ベラトリックス・レストレンジ
今度はハリーはアンドロメダの焼け焦げの左にある「ベラトリックス・ブラック」を見ていました。二重線でロドルファス・レストレンジと結ばれていました。この名前は何か自分の記憶を刺激する。どこかで聞いた名前だ。

しかしどこだったかとっさには思い出せない。ただ胃の腑に奇妙なぞっとするような感触が蠢(うごめ)きました。ハリーが「レストレンジ」と声に出して読むとシリウスは「この2人はアズカバンにいる」とだけ言ったのでした。

「ベラトリックスと夫のロドルファスはバーティ・クラウチの息子と一緒に入って来た。ロドルファスの弟のラバスタンも一緒だった」

ハリーがもっと知りたそうに見るとシリウスは相変わらずぶっきらぼうな声でこう言いました。シリウスのこの言葉を聞いてハリーは思い出しました。ベラトリックス・レストレンジを見たのは昨年度に校長室で見たのです。

想いや記憶を蓄えておけるあの不思議な「憂いの篩」という道具の中で見たのです。背の高い黒髪の女性で厚ぼったい瞼の半眼の魔女でした。裁判の終わりに立ち上がるとヴォルデモートへの変わらぬ恭順を誓っていました。

そしてヴォルデモートが失脚した後も探し求めた事を誇りその忠誠ぶりを褒めて貰える日が来ると宣言した魔女でした。ハリーはシリウスに「今まで一度も言わなかったね」と言いましたが「この魔女が」と言った時でした。

「私の従姉だったらどうだって言うのかね?私に言わせればここに載っている連中は私の家族ではない。この魔女は絶対に家族ではない。君ぐらいの歳の時からこの女には一度も会っていない」

シリウスはぴしゃりとこう言いました。シリウスはアズカバンでちらりと見かけた事を勘定に入れなければこのベラトリックス・レストレンジには15才の頃から一度も会っていないのだそうです。さらにはこうも言いました。

「こんな魔女を親戚に持った事を私が誇りにするとでも思うのか?」

3-2.この屋敷へのシリウスの憂鬱な想い
ハリーは「ご免なさい」と急いで謝りました。そんなつもりじゃなかった。ただ驚いたんだ。それだけだと言いました。ハリーはそんなつもりではなかったのに無意識の内にシリウスを責めてしまったと思ったんでしょうね。

シリウスもまたハリーを責めてしまったと思ったらしく「気にするな。謝る事はない」と口ごもると両手をポケットに深く突っ込んでタペストリーから顔を背けると客間を見渡しながらこう言ったというわけなんですよね。

「ここに戻って来たくなかった。またこの屋敷に閉じ込められるとは思わなかった」

ハリーにはシリウスの気持ちがよく判りました。自分が大きくなってプリベット通りから完全に解放されたと思った時またあの4番地に戻って住むとしたらどんな思いがするか判っていたからです。それと同じというわけです。

「もちろん本部としては理想的だ。父がここに住んでいた時に魔法使いが知る限りのあらゆる安全対策をこの屋敷に施した。位置探知は不可能だ。だからマグルは絶対にここを訪れたりはしない」

こう言った後シリウスは「もっともそうしたいとは思わないだろうが」と言いました。さらにシリウスが言うには今はダンブルドアが追加の保護策を講じているそうです。だからここより安全な屋敷はどこにもないそうです。

それはダンブルドアがここの「秘密の守人」だからなんだそうです。ダンブルドア自身が誰かにこの場所を教えない限り誰も本部を見つける事はできない。ハリーは昨日ここに入る際にムーディからメモ書きを渡されました。

あれはダンブルドアからなのだそうです。シリウスは犬が吠えるような声で短く笑うと「私の両親が今この屋敷がどんな風に使われているかを知ったら。まあ母の肖像画で君も少しは判るだろうがね」とそう言ったのでした。

シリウスは一瞬顔をしかめた後それから溜め息をつくと「時々ちょっと外に出て何か役に立つ事ができるなら私も気にしないんだが」と言った後にハリーにこう言いました。ダンブルドアにある申し入れをしたんだそうです。

「ダンブルドアに君の尋問について行く事はできないかと聞いてみた。もちろんスナッフルズとしてだが。君を精神的に励ましたいんだがどう思うかね?」

シリウスにこう言われてハリーは胃袋が埃っぽい絨毯の下まで沈み込んだような気がしました。尋問の事は昨夜の夕食の時以来考えていなかったからです。一番好きな人たちと再会ができた喜びもありました。さらにでした。

何が起こっているのかを聞いた興奮で尋問の事は完全に頭から吹き飛んでいました。しかしシリウスに尋問の事を口にされて押しつぶされそうな恐怖感が戻って来ました。ハリーは客間にいるシリウス以外の人々を見ました。

ロンにジニーとフレッドにジョージそれにハーマイオニーの5人をじっと見てハリーはこの5人が自分を置いてホグワーツに帰る事になったら自分はどんな気持ちがするんだろうとハリーはそう考えたというわけなんですよね。

「心配するな。無罪になるに決まっている。国際機密保持法に自分の命を救うためなら魔法を使っても良いと間違いなく書いてある」

シリウスがこう言いハリーが目を上げるとシリウスが自分を見つめている事に気づきました。そこでハリーはシリウスに「でももし退学になったらここに戻っておじさんと一緒に暮らしてもいい?」と静かに言ったのでした。

シリウスは寂しげに笑うと「考えてみよう」と答えました。そう言うシリウスにハリーは「ダーズリーの所に戻らなくてもいいと判っていたら僕尋問の事もずっと気が楽になるだろうと思う」と言って暗に回答を迫りました。

「ここのほうが良いなんて連中はよっぽどひどいんだろうな」

こう言うシリウスの声は陰気に沈んでいました。

3-3.午後からはガラス扉の飾り棚の掃除
ここでウィーズリーおばさんがハリーとシリウスに「そこの2人早くしないと食べ物がなくなりますよ」と呼びかけました。シリウスはまた大きな溜め息をつきました。そしてタペストリーに暗い視線を投げかけたんですよね。

それからハリーとシリウスはみんなの所へと行きました。そしてその日の午後ガラス扉の飾り棚をみんなで片付ける間ハリーは努めて尋問の事は考えないようにしました。飾り棚の中の物を片付ける作業は困難を極めました。

それはハリーにとっては都合のいい事でした。中に入っている物の多くが埃っぽい棚から離れるのを大変嫌がったので作業は相当の集中力を必要としました。シリウスは銀の嗅ぎタバコ入れに嫌と言うほど手を噛まれました。

するとあっという間に気持ちの悪い瘡蓋ができて手が堅い茶色のグローブのようになりました。シリウスは興味深げに自分の手を調べ「大丈夫だ」と言うと杖で軽く叩いて元の皮膚に戻しました。そしてこう言ったのでした。

「多分瘡蓋粉が入っていたんだ」

シリウスはそのタバコ入れを棚からの廃棄物を入れる袋に投げ入れました。その直後にジョージが自分の手を念入りに布で巻き既にドクシーで一杯になっている自分のポケットにこっそりと入れるのをハリーは見たのでした。

気持ちの悪い形をした銀の道具もありました。毛抜きに肢が沢山生えたような物で摘み上げるとハリーの腕をまるで蜘蛛のように這い上がって刺そうとしました。それはシリウスが捕まえて分厚い本で叩きつぶしたのでした。

その本の題名は「生粋の貴族-魔法界家系図」でした。オルゴールはネジを巻くと何やら不吉な音を出して不思議にみんなは力が抜けて眠くなりました。その事にジニーが気づいて蓋をバタンを閉じるまではそれが続きました。

誰も開ける事ができない重いロケットもありました。他にも古い印章が沢山に埃っぽい箱に入った勲章もありました。魔法省への貢献に対してシリウスの祖父に贈られた勲一等マーリン勲章でした。それらも捨てられました。

「じいさんが魔法省に金貨を山ほどくれてやったという事さ」

シリウスは勲章を袋に投げ入れながら軽蔑するようにこう言いました。クリーチャーが何度か入って来て品物を腰布の中に隠して持ち去ろうとしました。捕まるたびにクリーチャーはブツブツと恐ろしい悪態をつきました。

ここでもシリウスとの激しい攻防が繰り広げられました。

今日の最後に
シリウスにとってはここグリモールド・プレイス12番地はとてつもなく忌まわしい思い出ばかりが残る場所で「ここに戻って来たくなかった。またこの屋敷に閉じ込められるとは思わなかった」とこう言っているんですよね。

それを聞いてハリーは自分が大きくなって完全に解放されたと思ったその時にまたもあのプリベット通り4番地に戻って住むとしたらと考えてシリウスの気持ちがそれはそれはよく理解する事ができたというわけなんですよね。

シリウスはハリーがホグワーツを退学になったらここ12番地に一緒に住みたいと申し入れると「ここのほうが良いなんて連中はよっぽどひどいんだろうな」と言って声を陰気に沈ませていました。2人には共通する場所がある。

ハリーにとってのプリベット通り4番地。そしてシリウスにとってのグリモールド・プレイス12番地。いずれもハリーにとってもシリウスにとっても忌まわしい記憶ばかりが残る決して近づきたくない場所というわけですよね。

シリウスと自分にはそういう認識を同じくする場所がある。それを知ってハリーは大いに共感をしたというわけなんですよね。この事によってハリーとシリウスの絆はむしろ前にも増して固く結ばれたと私はそう思いますね。

でもこの後にシリウスを襲ったあの悲劇を考えると絆が固く結ばれればいいというものではないという気がしますよね。
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