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急ぎに急いでハリーはようやく地下の10号法廷に到着しました。男性の冷たい声に「遅刻だ」と怒られて思わず「すみません」と謝ったハリーでしたが直後に被告人側の証人として姿を現した人物を見てハリーの胸には力強い感情が湧き上がったのでした。その人物とは?(全3項目)

3-1.不気味なほどに見覚えのある法廷
ハリーは思わず息を呑みました。この広い地下牢は不気味なほどに見覚えがある。以前に見た事がある所ではない。ここに来た事がある。昨年度ハリーは校長室に行った際ダンブルドアの「憂いの篩」でこの場所に来ました。

そしてここでバーテミウス・クラウチ・ジュニアやベラトリックス・レストレンジたちがアズカバン監獄での終身刑を言い渡されるのを目撃したのでした。この法廷は黒ずんだ石壁を松明がぼんやりと照らしていたのでした。

ハリーの両側のベンチには誰も座ってはいませんでした。正面の一際高いベンチに大勢の影のような姿がありました。一同は低い声で話していましたがハリーの背後で重い扉が音を立てて閉まると不吉な静けさが漲りました。

法廷の向こうから男性の冷たい声が「遅刻だ」と鳴り響きました。ハリーは緊張して「すみません」と謝り時間が変更になった事を知りませんでしたと遅れた理由を説明しました。するとその冷たい声がこう言ったのでした。

「ウィゼンガモットのせいではない。今朝君の所へふくろうが送られている。着席せよ」

ハリーは法廷の真ん中に置かれた椅子に視線を移しました。肘掛けに鎖がびっしり巻きついています。椅子に座る者をこの鎖が生き物のように縛り上げるのをハリーは前に見ました。ハリーはその椅子に向かって歩きました。

石の床を歩くハリーの足音が大きく響き渡りました。恐る恐るその椅子の端に腰掛けると鎖がジャラジャラと脅すように鳴りはしましたがハリーを縛りはしませんでした。吐きたいような気分でハリーは前を見たのでした。

50人ぐらいはいるとハリーはそう思いました。ハリーの見える範囲では全員が赤紫のローブを着ています。胸の左側に複雑な銀の飾り文字で「W」の印がついています。その中には厳しい表情をしている者もいたんですよね。

率直に好奇心を露にしている者もいて全員がハリーを見下ろしていたというわけなんですよね。

3-2.懲戒尋問が始まったと思ったら
最前列の真ん中には魔法大臣コーネリウス・ファッジが座っていました。ファッジはでっぷりとした体格でライムのような黄緑色の山高帽を被っている事が多かったのですが今日は帽子なしでした。そしてだったんですよね。

これまでハリーに話しかける時に見せていた寛容な笑顔も消えていました。ファッジの左手には白髪を短く切った鰓のがっちり張った魔女が座っています。掛けている片メガネが近寄り難い雰囲気を醸し出していたのでした。

さらにファッジの右手も魔女でしたが後ろにぐっと身を引いて座っているので顔が陰になっていました。ファッジが「よろしい。被告人が出廷した。やっと。始めよう。準備はいいか?」と列の端に向かって呼びかけました。

「はい閣下」と意気込んだ声が聞こえました。ハリーの知っている声でロンの兄パーシーが前列の一番端に座っていました。ハリーはパーシーが自分を知っている素振りを少しでも見せる事を期待しましたが何もありません。

角縁メガネの奥でパーシーの目はしっかりと羊皮紙を見つめ手には羽根ペンを構えていました。ファッジが「懲戒尋問8月12日開廷」と朗々と言ってパーシーはすぐさま記録を取り始めてハリーの懲戒尋問が始まったのでした。

「未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令と国際機密保持法の違反事件。被告人ハリー・ジェームズ・ポッター。住所サレー州リトル・ウィンジング、プリベット通り4番地」

「尋問官コーネリウス・オズワルド・ファッジ魔法大臣、アメリア・スーザン・ボーンズ魔法法執行部部長、ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官。法廷書記パーシー・イグネイシャス・ウィーズリー」

するとハリーの背後で「被告側証人アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア」と静かな声がしました。ハリーがあまりにも急に振り向いたので首がグキッと捻じれました。不意を衝かれたからです。

濃紺のゆったりと長いローブを着たダンブルドアがとても静かな表情で部屋の向こうから粛々と大股に歩いて来ました。ダンブルドアはハリーの横まで来ると折れ曲がった鼻の中程に掛けた半月メガネを通して見上げました。

見上げた先はファッジでした。長い銀色の鬚と髪が松明に煌いています。ダンブルドアを見てウィゼンガモットのメンバーがざわめきました。目という目が今やダンブルドアを見ていました。当惑しているメンバーもいます。

少し恐れている表情もありました。しかし後列の年老いた2人の魔女は手を振って歓迎しました。その一方ダンブルドアの姿を見てハリーの胸には力強い感情が湧き上がりました。勇気と希望が湧いて来るような気持ちでした。

不死鳥の歌がハリーに与えてくれたのと同じような気持ちです。ハリーはダンブルドアと目を合わせたいとそう思いましたがハリーにとっては残念な事にダンブルドアはハリーのほうは見ずファッジを見つめ続けていました。

「あーダンブルドア。そう。あなたは。あー。こちらからの。えー。それでは伝言を受け取ったのかな?時間と。あー。場所が変更になったという?」

ファッジのほうは完全に落ち着きを失っているようでした。このように言葉もたどたどしくて途切れがちでした。時間と場所が変更になったという伝言を受け取ったのか?こう訊かれたダンブルドアは朗らかにこう答えました。

「受け取り損ねたらしいのう。しかし幸運にも勘違いしましてな。魔法省に3時間も早く着いてしまったのじゃ。それで仔細なしじゃ」

3-3.ハリーを睨みつけると
「そうか。いや。もう1つ椅子が要るようだ。私が。ウィーズリー、君が?」ファッジは引き続き言葉を途切れがちにしてたどたどしい口調でこう言いました。ダンブルドアが来たというのがどうやら想定外だったようですね。

それに対してダンブルドアは「いやいやお構いくださるな」と楽しげに言うと杖を取り出し軽く振りました。するとどこからともなくふかふかしたチンツ張りの肘掛椅子がハリーの隣に現れてダンブルドアは腰を掛けました。

そして長い指の先を組み合わせその指越しに礼儀正しくファッジに注目しました。ウィゼンガモット法廷はまだざわつきそわそわしていましたがファッジがまた口を開いたその時にようやく静まったというわけなんですよね。

ファッジは羊皮紙をガサガサめくりながら「よろしい」と言いました。そして「さてそれでは。そこで罪状。そうだ」と言うと目の前の羊皮紙の束から1枚を抜いて気持ちを落ち着けるように深呼吸をすると読み上げました。

「被告人罪状は以下の通り」

「被告人は魔法省から前回同様の咎にて警告状を受け取っており被告人の行動が違法であると十分に認識し熟知しながら意図的に去る8月2日9時23分マグルの居住地区にてマグルの面前で守護霊の呪文を行った」

「これは1875年制定の未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令C項並びに国際魔法戦士連盟機密保持法第13条の違反に当たる」

「被告人はハリー・ジェームズ・ポッター住所はサレー州リトル・ウィンジング、プリベット通り4番地に相違ないか?」これだけ言うとファッジは羊皮紙越しにハリーを睨みつけました。ハリーは「はい」とそう答えました。

被告人は3年前違法に魔法を使った廉で魔法省から公式の警告を受け取った。相違ないか?そして被告人は8月2日の夜に守護霊を出現させたか?17才未満であれば学校の外で魔法を行使する事を許されていないと承知の上か?

マグルだらけの地区である事を知っての上か?その時1人のマグルが身近にいたのを十分認識していたか?睨みつけたその後ファッジはハリーに対し以上の質問を立て続けにして来てハリーの答えは全て「はい。でも」でした。

ハリーは「はい」と答えながらも腹が立って来ました。反論をする機会を全く与えてくれなかったからです。

今日の最後に
何故尋問の開始時間を8時に変更したのか?それは当然事前にダンブルドアがハリー側の証人として出廷する事が判っていたのでファッジは当日の朝開始時間を変更しダンブルドアのいない内に済ませてしまおうとしたのです。

でもダンブルドアは現れてしまった。だから激しく動揺し落ち着きを失ったというわけです。一方ハリーは事前に知らされていなかったので急に振り向き首をグキッと捻ってしまったというわけです。不意を衝かれたのです。

12番地の厨房でハリーを出迎えた時には誰もが異口同音に大丈夫だと言いました。アーサー氏は「すぐ終わるよ。数時間後には無罪放免だ」と元気づけるように言いました。ダンブルドアが来るのを知っていたんでしょうね。

でもダンブルドアはどうやら自分が来る事はハリーに事前に教えないようにと口止めをしていたようです。そのためハリーは法廷にダンブルドアが姿を現したのを見て急に振り向き首をグキッと捻らせてしまったんですよね。

こうしてハリーの懲戒尋問は始まったというわけです。
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