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ハリポタ通の館(やかた)

ここではハリーポッター・シリーズに関する様々な情報や私の推測(妄想?)をお届けしています。毎週、日曜・月曜・水曜・木曜更新。

ファッジにしてみればハリーが吸魂鬼に襲われたというのが到底考えられない事なので目撃者がいるというダンブルドアの話は衝撃以外の何物でもありませんでした。こうしてハリーの懲戒尋問に出廷して証言をする事になったフィッグばあさんだったのですが・・・(全3項目)

3-1.フィッグばあさんの証言
「あたしはウィステリア・ウォークの奥にある角の店までキャット・フーズを買いに出かけてました。8月2日の夜9時頃です」フィッグばあさんは以上の言葉をまるで暗記して来たかのように早口で一気にまくし立てました。

「そんときにマグノリア・クレセント通りとウィステリア・ウォークの間の路地で騒ぎを聞きました。路地の入口に行ってみると見たんですよ。吸魂鬼が走ってまして」

するとマダム・ボーンズが「走って?吸魂鬼は走らない。滑る」と鋭く言いました。そう突っ込みを入れられてしまいフィッグばあさんは「そう言いたかったんで」と急いで言いました。頬の所々がピンクになっていました。

「路地を滑るように動いてどうやら男の子2人のほうに向かってまして」

フィッグばあさんがこう言うとマダム・ボーンズは「どんな姿をしていましたか?」と訊きました。眉をひそめたので片メガネの端が瞼に食い込んで見えなくなっていました。この問いにフィッグばあさんはこう答えました。

「えー1人はとても大きくてもう1人はかなり痩せて」

これを聞いてマダム・ボーンズは「違う違う。吸魂鬼のほうです。どんな姿か言いなさい」と性急に言いました。するとフィッグばあさんは「あっ」と言った後に「でっかかった。でかくてマントを着てまして」と言いました。

ハリーは胃の腑がガクンと落ち込むような気がしました。フィッグばあさんは吸魂鬼を見たと言いました。しかしせいぜい吸魂鬼の絵を見た事しかないように思えなかったからでした。絵では吸魂鬼の本性は伝わりません。

地上から数センチの所に浮かんで進むあの気味の悪い動き方。あの腐ったような臭い。周りの空気を吸い込む時のガラガラという恐ろしい音。吸魂鬼はこれらの特徴を備えていますがその恐ろしさは絵では伝わらないのです。

3-2.フィッグばあさんの証言が終わって
2列目の大きな黒い口髭を蓄えたずんぐりした魔法使いが隣の縮れっ毛の魔女のほうに身を寄せ何か耳元で囁くと魔女はニヤッと笑って頷きました。一方マダム・ボーンズは「でかくてマントを着て」と冷たく繰り返しました。

そして「なるほど他に何かありますか?」と訊きました。ファッジは嘲るようにフンと言いました。マダム・ボーンズの問いにフィッグばあさんは「あります」と答えるとその後にはフィッグばあさんはこう言ったのでした。

「あたしゃ感じたんですよ。何もかも冷たくなってしかもあなたとっても暑い夏の夜で。それであたしゃ感じましたね。まるでこの世から幸せってもんが全て消えたような。それであたしゃ思い出しましたよ」

最後にフィッグばあさんは「恐ろしい事を」と言い声を震わせて消したのでした。マダム・ボーンズの目が少しだけ開きました。片メガネが食い込んでいた眉の下に赤い跡が残っているのをハリーは見たというわけですよね。

次にマダム・ボーンズは「吸魂鬼は何をしましたか?」と訊きました。どうやらフィッグばあさんの証言を信じ始めているようでハリーは希望が押し寄せるのを感じました。その問いにはフィッグばあさんはこう答えました。

「奴らは男の子に襲いかかった。1人が倒れた。もう1人は吸魂鬼を追い払おうとして後退りしていた。それがハリーだった。2回やってみたが銀色の霞しか出なかった」

「3回目に創り出した守護霊が1人目の吸魂鬼に襲いかかった。それからハリーに励まされて2人目の吸魂鬼をいとこから追っ払った。そしてそれが。それが起こった事で」

こう言ったフィッグばあさんの声は今度はしっかりしていて自信があるようです。顔のピンク色も退いていました。しかしその一方でフィッグばあさんは尻切れトンボに言い終えました。マダム・ボーンズは黙っていました。

そしてフィッグばあさんを見下ろしました。ファッジはフィッグばあさんを全く見もせずに羊皮紙をいじくり回していました。最後にファッジは目を上げて突っかかるように「それがお前の見た事だな?」と訊いたのでした。

ファッジの問いにフィッグばあさんは「それが起こった事で」と繰り返して言ってファッジは「よろしい。退出してよい」と言ったのでした。フィッグばあさんは怯えたような顔でファッジを見るとダンブルドアを見ました。

それから立ち上がりせかせかと扉に向かいました。扉が重い音を立てて閉まるのをハリーは聞きました。するとファッジが「あまり信用できない証人だった」と高飛車に言いましたがマダム・ボーンズの意見は異なりました。

「いやどうでしょうね。吸魂鬼が襲う時の特徴を実に正確に述べていたのも確かです。それに吸魂鬼がそこにいなかったのなら何故いたなどと言う必要があるのかその理由がない」

マダム・ボーンズは低く響く声でこう言いました。それに対してファッジは「しかし吸魂鬼がマグルの住む郊外をうろつくかね?そして偶然に魔法使いに出くわすかね?確率は極々低い」と述べこうも言ったというわけです。

「バグマンでさえそんなのには賭けない」

するとここでダンブルドアが「おお吸魂鬼が偶然そこにいたと信じる者はここには誰もおらんじゃろう」と軽い調子で言いました。するとファッジの右側にいる顔が陰になった魔女が何故だか少しだけ身動きをしたのでした。

それ以外の全員は黙ったまま動きませんでした。

3-3.ファッジの右手の魔女が
「それはどういう意味かね?」ファッジが冷やかにこう訊くとダンブルドアは「それは連中が命令を受けてそこにいたという事じゃ」と答えました。ダンブルドアのこの言葉を受けファッジはこう吼え立てたというわけです。

「吸魂鬼二体にリトル・ウィンジングをうろつくように命令したのなら我々のほうに記録があるはずだ!」

これにダンブルドアは「吸魂鬼がこのごろ魔法省以外から命令を受けているとなればそうとは限らんのう。コーネリウスこの件についてのわしの見解は既に述べてある」と応えましたがファッジは力を込めこう反論しました。

「確かに伺った。しかしダンブルドアどこをどう引っくり返してもあなたの意見は戯言以外の何物でもない。吸魂鬼はアズカバンに留まっており全て我々の命令に従って行動している」

するとダンブルドアは「それなれば我々は自らに問うてみんといかんじゃろう。魔法省内の誰かが何故2人の吸魂鬼に8月2日にあの路地に行けと命じたのか」と静かな一方できっぱりと言いました。法廷内は静まり返りました。

全員が完全に黙り込んだからです。その中で先程少しだけ身動きをしたファッジの右手の魔女が身を乗り出しハリーは初めてその魔女の顔を目にしました。まるで大きな蒼白いガマガエルのようだとハリーはそう思いました。

ずんぐりして大きな顔は締まりがなく首はバーノン叔父さん並みに短く口はぱっくりと大きくだらりとだらしがありません。丸い大きな目は若干飛び出し短いくるくるした巻き毛にはビロードの小さな蝶結びが載っています。

そのちょこんと載った黒い蝶結びまでもがハリーには大きな蠅に見えました。今にも長いねばねばとした舌が伸びて来てぺろりと捕まえそうです。ファッジがこう言ってその魔女は女の子のように甲高い声で話し出しました。

「ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官に発言を許す」

その魔女が甲高い上にひらひらと話し出したのにはハリーはびっくり仰天しました。外見がカエルのようだったのでゲロゲロという嗄(しわが)れ声だろうと思っていたのです。魔女はダンブルドアに向かってこう言いました。

「わたくしきっと誤解してますわねダンブルドア先生。愚かにもわたくしほんの一瞬ですけどまるで先生が魔法省が命令してこの男の子を襲わせた!そうおっしゃってるように聞こえましたの」

魔女は冴えた金属音で笑いました。ハリーは後頭部の毛がぞっと逆立つような気がしました。数人のウィゼンガモットの裁判官も一緒に笑いました。だからと言ってその誰もが別に面白いと思っていないのは明々白々でした。

今日の最後に
ファッジはフィッグばあさんの事を「あまり信用できない証人だった」と言っています。しかしある意味ではこのファッジの見解は鋭いと言えるでしょうね。それと言うのもフィッグばあさんは実際の現場を見てはいません。

フィッグばあさんがハリーとダドリーが吸魂鬼に襲われた現場に駆け付けたのは事が済んで吸魂鬼がいなくなった後です。ハリーとダドリーが吸魂鬼に襲われた所を実際に見たのは猫でニーズルのミスター・チブルスでした。

これは当サイトではもう既出の事ですがどうしても避けられないので改めて説明します。ミスター・チブルスはフィッグばあさんが飼っている猫の内の1匹でマンダンガス・フレッチャーの代わりにハリーを見張っていました。

ミスター・チブルスがハリーとダドリーが吸魂鬼に襲われているとフィッグばあさんに知らせたのです。ミスター・チブルスは事が全て終わる前に現場を離れたのでフィッグばあさんの説明は尻切れトンボで終わったのです。

フィッグばあさんが冒頭で言ったキャット・フーズを買いに出かけてその現場に出くわしたという説明がそもそも嘘だったんですよね。猫では出廷して証言する事ができないので代わりにフィッグばあさんが出廷したのです。

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