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あっという間にダンブルドアがいなくなってしまいショックを受けたハリーでしたがそれでも無罪放免を勝ち取った喜びで格別の気分でした。ところがアーサー氏と階段を上がって地下9階に来るとコーネリウス・ファッジと話しているルシウス・マルフォイ氏と出くわして・・・(全3項目)

3-1.懲戒尋問が終了して
ダンブルドアがあっという間にいなくなったのはハリーにとっては全くの驚きでした。鎖つきの椅子に座ったままハリーはほっとした気持ちとショックの間で葛藤していました。その一方ウィゼンガモットの裁判官たちは?

ウィゼンガモットの裁判官たちは全員立ち上がってしゃべったり書類を集めたりして帰り支度をしていました。ハリーは立ち上がりました。ハリーの事など誰も全く気にかけていないようでした。ただ1人だけは違いました。

ファッジの右隣のガマガエル魔女つまりドローレス・アンブリッジ上級次官だけ今度はダンブルドアではなくハリーを見下ろしています。その視線を無視しハリーはファッジかマダム・ボーンズの視線を捕えようとしました。

もう法廷を出てもいいのかどうかを訊きたかったのです。しかしファッジは意地でもハリーを見ないようにしているようでした。マダム・ボーンズのほうは自分の書類カバンの整理で忙しくしていたというわけなんですよね。

そこでハリーは試しに一歩そして二歩と遠慮がちに出口に向かって歩いてみました。呼び止める人がいないと判るとハリーは早足になりました。最後の数歩は駆け足になり扉を開けるとアーサー氏に衝突しそうになりました。

アーサー氏は心配そうな青い顔で法廷のすぐ外に立っていました。ハリーの顔を見るとアーサー氏は「ダンブルドアは何も言わなかった」と言おうとしました。しかしその言葉の途中でハリーがこう言って吉報を伝えました。

「無罪だよ。無罪放免!」

ハリーが扉を閉めながらこう言うとアーサー氏は笑ってハリーの肩を掴むと「ハリーそりゃよかった!まあもちろん君を有罪にできるはずはないんだ。証拠の上では。しかしそれでも正直言うと私はやっぱり」と言いました。

そうは言ってもアーサー氏も一抹の不安を抱いていたというわけです。しかしアーサー氏は突然口をつぐみました。法廷の扉が開いてウィゼンガモットの裁判官たちが続々と出て来たからでした。それを見てアーサー氏は?

アーサー氏は「何てこった!」と言うとハリーを脇に引き寄せ一同をやり過ごしながら愕然として「大法廷で裁かれたのか?」とハリーに訊きました。アーサー氏のその問いにハリーは小声で「そうだと思う」と答えました。

3-2.階段を上がって9階に来ると
通りすがりに1人か2人はハリーに向かって頷きましたしマダム・ボーンズを含む何人かはアーサー氏に「おはようアーサー」と挨拶をしました。どうやらウィゼンガモットの裁判官全員が敵ではなかったというわけですよね。

しかし他の大多数は目を合わせないようにして通りました。最後近くにコーネリウス・ファッジとドローレス・アンブリッジが法廷を出ました。ファッジはハリーとアーサー氏が壁の一部であるかのように振る舞いました。

その逆にドローレス・アンブリッジは通りがかりにまたしてもハリーをまるで値踏みするかのような目つきで見ました。最後にパーシーがファッジと同様に父親のアーサー氏とハリーを完全に無視して法廷を出て行きました。

大きな羊皮紙の巻紙と予備の羽根ペンを何本か握り締め背中を突っ張らせてつんと上を向いてすたすたと通り過ぎて行きました。アーサー氏の口の周りの皺が少し緊張したものの自分の三男を見たという素振りはありません。

「君をすぐ連れて帰ろう。吉報を君からみんなに伝えられるように。ベスナル・グリーンのトイレに行くついでだから。さあ」

パーシーの踵が地下9階への石段を上がって見えなくなった途端にアーサー氏はハリーを手招きしてこう言いました。ハリーは今やニヤニヤしながら「それじゃトイレはどうするつもりなの?」とアーサー氏に訊いたのでした。

突然何もかもが普段の5倍も面白く思われました。段々実感が湧いて来ました。無罪なんだ。ホグワーツに帰れるんだ。2人で階段を上がりながらアーサー氏は「ああ簡単な呪い破りで済む」と答えました。でもなんだそうです。

アーサー氏が言うにはただ故障の修理だけの問題ではないんだそうです。むしろ公共物の破壊の裏にある態度が問題なのだそうです。マグルをからかうのは一部の魔法使いにとってはただ愉快な事に過ぎないのかもしれない。

しかし実はもっと根が深くて性質の悪い問題の表れだそうです。ところが「だから私なんかは」とまで言った所でアーサー氏ははっと口をつぐみました。そこは地下9階の廊下に出た所でした。歓迎できない人物がいたのです。

目と鼻の先にコーネリウス・ファッジが立っていて長身の滑らかなプラチナ・ブロンドの顎が尖った青白い顔の男とひそひそ話をしていたのです。足音を聞きつけるとその男はこちらを向いてはっとして会話を中断しました。

冷たい灰色の目を細めてハリーの顔をじっと見ました。ハリーが次に聞いたのは「これはこれはこれは。守護霊ポッター殿」というルシウス・マルフォイ氏の冷たい声でした。まるで何か固い物に衝突をしたかのようでした。

ハリーは「うっ」と息が止まりました。その冷たい灰色の目を最後に見たのは死喰い人のフードの切れ目からでした。その嘲る声をハリーが最後に聞いたのは暗い墓場でヴォルデモートの拷問を受けていた時だったのでした。

そのルシウス・マルフォイ氏が臆面もなく自分の顔をまともに見ている。さらにはそのルシウス・マルフォイ氏が魔法省にいて魔法大臣コーネリウス・ファッジと話している。死喰い人だと自分が教えたばかりだと言うのに。

ハリーは信じられませんでした。

3-3.ルシウス・マルフォイ氏に出くわして
ルシウス・マルフォイ氏は気取った声で「たった今大臣が君が運良く逃げ遂せたと話してくださった所だポッター」と言いアーサー氏は警戒するようにハリーの肩を掴みました。ルシウス・マルフォイ氏はこうも言いました。

「驚くべき事だ。君が相変わらず危うい所をすり抜けるやり方と来たら。実に蛇のようだ」

ハリーは「ああ。ああ僕は逃げるのが上手いよ」と応えました。それは先回2人が会った時の事で十二分に判っているでしょうというわけですよね。すると今度はルシウス・マルフォイ氏は目を上げこう言ったというわけです。

「何とアーサー・ウィーズリーもか!ここに何の用かねアーサー?」

アーサー氏は「ここに勤めている」と素気なく答えました。ルシウス・マルフォイ氏は「まさかここではないでしょう?」と言うと眉をきゅっと上げてアーサー氏の肩越しに後ろの扉をちらりと見るとこうも言ったのでした。

「君は地下2階のはず。マグル製品を家にこっそり持ち帰りそれに魔法をかけるような仕事ではありませんでしたかな?」

アーサー氏は「いいや」とバシッと言いハリーは「そっちこそ一体何の用だい?」と訊きました。ハリーの肩には今やアーサー氏の指が食い込んでいてルシウス・マルフォイ氏は胸のあたりを撫でつけながらこう言いました。

「私と大臣との私的な事はポッター、君には関係がないと思うが」

金貨がポケット一杯に詰まったようなチャリンチャリンという柔らかい音をハリーははっきり聞きました。ルシウス・マルフォイ氏はファッジにこう言いました。ファッジは「そうしよう」と応えると2人に背を向けました。

「全く君がダンブルドアのお気に入りだからといって他の者も皆君を甘やかすとは期待しないで欲しいものだ。では大臣お部屋のほうに参りますか?」

ファッジがルシウス・マルフォイ氏に「ルシウスこちらへ」と言って2人は低い声で話しながら大股で立ち去りました。アーサー氏は2人がエレベーターに乗り込んで姿が見えなくなるまでハリーの肩を放さなかったんですよね。

「何か用があるなら何であいつはファッジの部屋の前で待っていなかったんだ?ここで何してたんだ?」

ハリーが憤慨して吐き捨てるようにこう言うとアーサー氏は「こっそり法廷に入ろうとしていた。私はそう見るね」と答えました。アーサー氏は動揺した様子で誰かが盗み聞きしていないか確かめるように目を走らせました。

「君が退学になったかどうか確かめようとしたんだ。君を屋敷まで送ったらダンブルドアに伝言を残そう。マルフォイがまたファッジと話をしていたとダンブルドアに知らせないと」

ハリーの肩越しに目を走らせながらアーサー氏はこう言ったというわけなんですよね。

今日の最後に
ハリーとアーサー氏が階段を上がって地下9階に来るとそこにコーネリウス・ファッジと話しているルシウス・マルフォイ氏がいました。アーサー氏は何やら動揺した様子で盗み聞きを確かめるように目を走らせたんですよね。

アーサー氏はハリーを屋敷に送ったらダンブルドアに伝言を残すと言いました。何故アーサー氏は動揺していたのか?何故ダンブルドアに伝言を残すと言ったのか?実はこの時当然ハリーは見張りの事を知らなかったのです。

ハリーとヴォルデモートに関する予言をシビル・トレローニーがした。その予言を封印したガラス球が神秘部の「予言の間」という所に保管されていて不死鳥の騎士団の面々は神秘部の入口の扉を交代で見張っていたのです。

そこに死喰い人のルシウス・マルフォイ氏が現れた。騎士団の面々が交代で見張っている事をルシウス・マルフォイ氏は知っているのか?それを考えてアーサー氏は動揺してダンブルドアに伝言を残すと言ったんでしょうね。

ハリーは予言を封印したガラス球の事も騎士団が神秘部の入口の扉を交代で見張っている事も知らないので本当の事は言えないというわけなんですよね。
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