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ロンとハーマイオニーにシリウスとダンブルドアさらには「日刊予言者新聞」と不満に思う所が「これでもか!」というほどに沢山あったのでハリーの怒りは爆発寸前でした。そんな想いに耽っている時にハリーの目の前にダドリー軍団が現れました。そこでハリーは?(全3項目)

3-1.公園でブランコに腰掛け
少なくともシリウスだけはハリーの気持ちを理解してくれているようでした。もちろんシリウスの手紙の内容にもロンやハーマイオニーのと同じくちゃんとしたニュースは何も書かれてはいなかったというわけなんですよね。

しかし思わせぶりなヒントではなく少なくとも警戒や慰めの言葉が書かれていました。マグノリア・クレセント通りを横切ってマグノリア通りに曲がり暗闇の迫る遊園地に向かいながらハリーは「そうだなあ」と思いました。

「君はきっとイライラしている事だろう。おとなしくしていなさい。そうすれば全て大丈夫だ。気をつけるんだ。無茶するなよ」

これまでハリーは大抵はシリウスの忠告通りに振舞って来ました。少なくとも箒にトランクを括りつけて自分勝手に「隠れ穴」に出かけたいという誘惑に負けはしませんでした。しかしそれは決してしてはならない事でした。

ハーマイオニーはもちろんロンを含めたウィーズリー家の人々もいない空の「隠れ穴」に到着する事になるからです。こんなに長くプリベット通りに釘づけにされ花壇に隠れるような真似までしてテレビのニュースを聞いた。

それもまたヴォルデモートの動きの手がかりを掴みたい一心だったのです。こんなに苛立ち怒っている割には自分の態度は実際上出来とハリーは思いました。それにしても魔法使いの牢獄アズカバンに12年も入れられていた。

そして脱獄してそもそも投獄されるきっかけになった未遂の殺人をやり遂げようとした。さらに盗んだヒッポグリフに乗って逃亡したような人間に無茶するなよと諭されるなんて全く理不尽だとハリーはそう思ったのでした。

ハリーは鍵の掛かった公園の入口を飛び越えて乾き切った芝生を歩き始めました。周りの通りと同じように公園にも人の気配はありません。ハリーはブランコに近づきダドリー一味が唯一壊し残したブランコに腰掛けました。

片腕を鎖に巻きつけてぼんやりと地面を見つめました。もう4番地の花壇に隠れる事はできない。明日はニュースを聞く新しいやり方を考えないといけないとハリーは思いました。それまでは期待して待つような事は何もない。

3-2.そこにやって来たのは?
また落ち着かない苦しい夜が待ち受けているだけなのです。セドリックの悪夢から逃れてもハリーは別の不安な夢を見ていました。長くて暗い廊下があり廊下の先はいつも行き止まりで鍵の掛かった扉があるという夢でした。

目覚めている時の閉塞感と関係があるのだろうとハリーは思いました。額の傷痕が頻繁にちくちくと嫌な感じで痛みましたがロンにハーマイオニーとシリウスが今でも関心を示してくれるだろうとハリーは思いませんでした。

そこまでハリーの思いは甘くはありませんでした。これまでは傷痕の痛みはヴォルデモートの力が再び強くなって来た事を警告していました。しかしヴォルデモートが復活した今となっては頻繁に痛むのは当然予想される。

そうだとみんなは言うだろう。心配するな。今に始まった事じゃないと言うだろう。何もかもが理不尽だという怒りが込み上げてハリーは叫びたいと思いました。自分がいなければ誰もヴォルデモートの復活を知らなかった。

それなのにご褒美はリトル・ウィンジングにびっしり4週間も釘づけだ。魔法界とは完全に切り離され枯れかかったベゴニアの中に座り込むような真似までして聞いたニュースがセキセイインコの水上スキーという有り様です。

ダンブルドアは何故そう簡単に自分の事が忘れられるんだ?自分を呼びもせず何故ロンとハーマイオニーだけが一緒にいられるんだ?シリウスがおとなしくいい子にしていろと諭すのをあとどのくらい我慢すればいいんだ?

間抜けな「日刊予言者新聞」に投書してヴォルデモートが復活したと言ってやりたい衝動をあとどのくらい抑えていればいいんだ?あれやこれやの激しい憤りがハリーの頭の中で渦巻いて腸が怒りで捩(よじ)れたのでした。

そんなハリーを蒸し暑いビロードのような夜が包みました。熱くて乾いた草の匂いがあたりを満たし公園の柵外から低く聞こえる車の音以外は何も聞こえません。そんな風にハリーが怒りに猛り狂っていると人声がしました。

ハリーは想いから醒め目を上げました。周囲の街灯がぼんやりとした明かりを投げ公園の向こうからやって来る数人の人影を浮かび上がらせました。1人が大声で下品な歌を歌っています。他の仲間は笑っていたんですよね。

転がしている高級そうなレース用自転車から軽い金属音が聞こえて来ました。ハリーはこの連中を知っていました。先頭の人影は間違いなくいとこのダドリー・ダーズリーで忠実な軍団を従えて家に帰る途中というわけです。

ダドリーは相変わらず巨大でしたが1年間の厳しいダイエットと新たにある能力が発見された事で体格が鍛えられ相当に変化していました。バーノン叔父さんは聞いてくれる人なら誰でもお構いなしに自慢していたんですよね。

ダドリーは最近「英国南東部中等学校ボクシング・ジュニアヘビー級チャンピオン」になったんだそうです。小学生の時にハリーはダドリーの最初のサンドバッグ役でした。ダドリーはその時もう既に物凄かったんですよね。

そのダドリーは叔父さんが「高貴なスポーツ」と呼んでいるもののお陰で一層物凄くなっていました。ハリーはもうダドリーなど全く怖いと思いませんでしたがダドリーがより強力で正確なパンチを覚えたのは喜ばしくない。

そうは思っていました。このあたり一帯の子供たちはダドリーを怖がっていました。ハリーとて札つきの不良で「セント・ブルータス更生不能非行少年院」に入っていると警戒され怖がられていましたがそれより怖いのです。

ハリーは芝生を横切って来る黒い影を見つめながら今夜は誰を殴って来たのだろうと思いました。そして人影を見ながら心の中でこう言っている自分に気付きました。つまりはダドリーたちを挑発する言葉だったんですよね。

「こっちを見ろよ。ほーらこっちを見るんだ。僕はたった1人でここにいる。さあやってみろよ」

自分がここにいるのをダドリーの取り巻きが見つけたら間違いなく一直線にこっちにやって来る。そしたらダドリーは一体どうする?軍団の前で面子を失いたくはないが自分を挑発するのは怖いはずだ。それは愉快だろうな。

ダドリーがジレンマに陥る。からかわれても何にも反撃できないダドリーを見るのはハリーにとって愉快というわけですよね。ダドリー以外の誰かが殴りかかって来たならこっちの準備はできている。やるんならやってみろ。

こっちには杖があるんだ。昔自分の人生を惨めにしてくれたこいつらを欝憤晴らしの捌け口にしてやる。しかし誰も振り向きません。ハリーを見もせずにダドリー軍団は柵のほうまで行ってしまったというわけなんですよね。

ハリーは後ろから呼び止めたい衝動を抑えました。喧嘩を吹っかけるのは利口なやり方ではない。魔法を使ってはいけない。さもないとハリーは再び退学の危険を冒す事になるからです。だから踏み止まったというわけです。

3-3.ダドリーに追いつくと
ダドリー軍団の声が遠退きマグノリア通りのほうへ姿を消しました。ハリーはこうぼんやり考えると立ち上がって伸びをしました。それから欠伸を我慢するとしかめっ面のまま公園の出口に向かったというわけなんですよね。

「ほうらねシリウス。全然無茶してない。おとなしくしているよ。シリウスがやった事とまるで正反対だ」

バーノン叔父さんもペチュニア叔母さんもダドリーが帰って来た時が正しい帰宅時間でそれより後は遅刻だと思っているようです。叔父さんは今度ダドリーより遅く帰ったら納屋に閉じ込めるとハリーを脅していたのでした。

だからハリーも帰路に着いたのです。マグノリア通りはプリベット通りと同じく角張った大きな家が立ち並び芝生はきっちり刈り込まれていましたしこれまた四角四面の大物ぶった住人たちは磨き上げた車に乗っていました。

ハリーは夜のリトル・ウィンジングのほうが好きでした。カーテンの掛かった窓々が暗闇の中で点々と宝石のように輝いている。それに家の前を通り過ぎる時ハリーの非行少年風の格好を非難する声を聞く恐れもありません。

ハリーは急ぎ足で歩きました。するとマグノリア通りの中程で再びダドリー軍団が見えて来ました。マグノリア・クレセント通りの入口で互いにさよならを言っていました。ハリーはリラの大木の陰に身を寄せて待ちました。

「あいつ豚みたいにキーキー泣いてたよな?」とマルコムが言うと仲間が馬鹿笑いをしました。ピアーズが「いい右フックだったぜ。ビックD」と言いダドリーはそれには応えず「また明日。同じ時間だな?」と言いました。

それにゴードンが「俺んとこでな。親父たちは出かけるし」と応えてダドリーが「じゃまたな」と言って仲間たちはダドリーに「バイバイ。ダッド!」とか「じゃあなビッグD!」などと別れの挨拶をしていたというわけです。

ハリーは軍団が全ていなくなるまで待ってから歩き出しました。全員の声が聞こえなくなった時ハリーは角を曲がってマグノリア・クレセント通りに入りました。急ぎ足で歩くとダドリーの声が届く所にすぐ追いつきました。

ダドリーは鼻歌を歌いながら気ままにぶらぶら歩いていました。ハリーが「おいビッグD!」と声をかけると振り返って唸るように「何だお前か」と言いました。そんなダドリーに向かってハリーはこう言ったというわけです。

「ところでいつからビッグDになったんだい?」

ダドリーは「黙れ」と言うと歯噛みして顔を背けました。ハリーはニヤニヤしながらダドリーと並んで歩くと「かっこいい名前だ。だけど僕にとっちゃ君はいつまで経ってもちっちゃなダドリー坊やだな」と言ったのでした。

そう言われてダドリーは?

今日の最後に
ダドリーは最近「英国南東部中等学校ボクシング・ジュニアヘビー級チャンピオン」になったんだそうです。そのためバーノン叔父さんは聞いてくれる人なら誰でもお構いなしにその事を自慢しているとの事なんだそうです。

おまけに叔父さんはボクシングの事を「高貴なスポーツ」と呼んでいるのだそうです。しかしお世辞にもボクシングというスポーツは到底高貴とは言えないですよね。叔父さんの親馬鹿もここに極まったという感じですよね。

それからダーズリー夫妻はダドリーが帰って来た時が正しい帰宅時間でそれより後は遅刻だと思っているらしいとの事です。だから叔父さんは今度ダドリーより遅く帰ったら納屋に閉じ込めるとハリーを脅したんだそうです。

ハリーはこの夏ぐんと背が伸びたそうです。そのためもはや大きくなって物置には閉じ込められなくなったので「納屋」に格上げになったみたいですね。
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