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こんな事はハリーの憶えている限りでは初めてでした。何と歌の中で組み分け帽子が学校に対して警告を発したのです。しかしグリフィンドールのゴースト「ほとんど首なしニック」が言うにはこれが初めてではないんだそうです。そして食事が終ると再びダンブルドア校長が立ち上がって・・・(全3項目)

3-1.組み分けの儀式始まる
ハリーは2年生と3年生の時に組み分けの儀式を見逃しているので組み分け帽子の歌を聞くのはこれが三度目です。歌い終わると組み分け帽子は再び動かなくなって拍手が湧き起りましたが呟きと囁きで萎みがちだったのでした。

こんな事はハリーの憶えている限り初めてでした。大広間の生徒は誰もが隣同士で意見を交換しています。ハリーも一緒に拍手をしながら生徒たちが何を話しているのかが判りました。ロンが眉を吊り上げてこう言いました。

「今年はちょっと守備範囲が広がったと思わないか?」

これにハリーは「全くだ」と応えました。それと言うのも今年は組み分け帽子の歌に新しい歌詞が加わったからでした。帽子は通常ホグワーツの4つの寮の持つ各々の特性を述べ帽子自身の役割を語る事に留まっていました。

学校に対し警告を発するなどハリーの記憶ではこれまでなかった事でした。ハーマイオニーが少し不安そうに「これまでに警告を発した事なんてあった?」と訊き「ほとんど首なしニック」が「左様あります」と答えました。

その際ニックはネビルの向こうから身を乗り出したのでネビルはぎくりと身を引く事となりました。ゴーストが人間の体を通って身を乗り出すのは気持ちのいいものではないのです。ニックは訳知り顔で説明してくれました。

「あの帽子は必要とあらば自分の名誉にかけて学校に警告を発する責任があると考えているのです」

しかしその時マクゴナガル先生が1年生の名簿を読み上げようとしていてひそひそ話をしている生徒を火のような目で睨みつけました。ニックは透明な指を唇に当て再び優雅に背筋を伸ばしました。大広間は静かになりました。

4つのテーブルに隈なく視線を走らせ最後の睨みを利かせるとマクゴナガル先生は長い羊皮紙に目を落として「アバクロンビー、ユーアン」と最初の名前を読み上げました。先程ハリーの目に止まった怯えた顔の男の子でした。

つんのめるように前に出て帽子を被りました。帽子は肩までスッポリ入りそうでしたが耳が殊更に大きいのでそこで止まりました。帽子は一瞬考えたその後つば近くの裂け目が再び開き「グリフィンドール!」と叫びました。

ハリーも他のグリフィンドール生と一緒に拍手してユーアン・アバクロンビーはよろめくようにグリフィンドールのテーブルに着きました。穴があったら入りたい。二度とみんなの前には出たくないという顔をしていました。

こうして今年度の組み分けの儀式が始まりました。

3-2.待望の食事の時間になり
ゆっくりと1年生の列が短くなりました。名前の読み上げと組み分け帽子の決定の間の空白時間にロンの胃袋が大きく鳴るのが聞こえました。ようやくローズ・ゼラーがハッフルパフに入れられ組み分けの儀式が終わりました。

マクゴナガル先生が帽子と丸椅子を取り上げきびきびと歩き去るとダンブルドア校長が立ち上がりました。最近ハリーは校長に苦い感情を持っていましたがそれでもダンブルドアが生徒の前に立つと心は安らかになりました。

ハグリッドはいないしドラゴンまがいの馬はいるしであんなに楽しみにホグワーツに帰って来たのに学校は思いがけない驚きの連続でした。聞き慣れた組み分け帽子の歌にぎくりとするような調子外れが入ったのもそうです。

しかしこれでやっと期待通りだ。校長が立ち上がり新学期の宴の前に挨拶をする。ダンブルドアは唇に微笑を湛え両腕を大きく広げて朗々とこう言いました。するとうれしそうな笑い声が上がり拍手が湧いたというわけです。

「新入生よおめでとう!古顔の諸君よ。お帰り!挨拶するには時がある。今はその時にあらずじゃ。掻っ込め!」

ダンブルドアはスマートに座ると長い鬚を肩から後ろに流して皿の邪魔にならないようにしました。どこからともなく大きな肉料理にパイに野菜料理にパンにソースにかぼちゃジュースの大瓶などの食べ物が現れていました。

五卓のテーブルがその重さに唸っていました。ロンは待ち切れないように「いいぞ」と呻き一番近くにあった骨つき肉の皿を引き寄せて自分の皿を山盛りにし始め「ほとんど首なしニック」がうらやましそうに見ていました。

「組み分けの前に何か言いかけてたわね?帽子が警告を発する事で?」

ハーマイオニーがニックにこう訊きました。ニックは「おおそうでした」と言いながらロンから目を逸らす理由ができてうれしそうでした。ロンは恥も外聞もないという情熱で今度はローストポテトにかぶりついていました。

「左様これまでに数回あの帽子が警告を発するのを聞いております。いつも学校が大きな危機に直面している事を察知した時でした。そしてもちろんの事いつも同じ忠告をします。団結せよ内側を強くせよと」

するとロンが「ぼしなンがこきけんどってわかン?」と訊きました。こんなにも口一杯なのにロンはよくこれだけの音を出せたとハリーは感心をしました。ニックは「何と言われましたかな?」と礼儀正しく訊き返しました。

一方ハーマイオニーはむかっとした顔をしました。ロンは食べ物を大きく飲み込むと「帽子なのに学校が危険だとどうして判るの?」と言い直しました。そのロンの質問に対してニックはこう答えたというわけなんですよね。

「私には分りませんな。もちろん帽子はダンブルドアの校長室に住んでいますから敢えて申し上げればそこで感触を得るのでしょうな」

ハリーはスリザリンのテーブルのほうを見ながらニックに「それで帽子は全寮に仲良くなれって?とても無理だね」と言いました。そこでは今年度監督生に任命されたドラコ・マルフォイが王様然と振る舞っていたからです。

「さあさあそんな態度はいけませんね。平和な協力これこそ鍵です。我らゴーストは各寮に分れておりましても友情の絆は保っております」

だからニックはグリフィンドールとスリザリンの競争があっても「血みどろ男爵」と事を構えようとは夢にも思わないんだそうです。それにロンが「単に恐いからだろ」と突っ込んでニックは大いに気を悪くしたようでした。

「恐い?痩せても枯れてもニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿。命在りし時も絶命後も臆病の汚名を着た事はありません。この体に流れる気高き血は」

ここでまたロンは「どの血?まさかまだ血があるの?」と突っ込みを入れました。ニックは憤慨のあまりほとんど切り離されている首をわなわなと危なげに震わせながら「言葉の綾です!」と答えさらにこう言ったのでした。

「私が言の葉をどのように使おうとその楽しみはまだ許されていると愚考する次第です。例え飲食の楽しみこそ奪われようと。しかし私の死を愚弄する生徒がいる事にはこの僕(やつがれ)慣れております!」

3-3.食事が終って
そんなニックにハーマイオニーは「ロンはあなたの事を笑い物にしたんじゃないわ!」と言いロンに恐ろしい一瞥を投げつけました。しかし不幸にもロンの口はまたしても爆発寸前まで詰め込まれていたというわけですよね。

そのためやっと言葉になったのは「ちがンぼっきみンきぶンごいすンつもるらい」だったのでした。これでは十分な謝罪にはならないと思ったようでニックは羽飾りつきの帽子を正すと空中に浮き上がりその場を離れました。

そして今度はニックはテーブルの端に行きコリンにデニスのクリービー兄弟の間に座りました。ハーマイオニーは「お見事ねロン」と食ってかかりましたがロンはやっと食べ物を飲み込むと怒ったようにこう言ったのでした。

「何が?簡単な質問をしちゃいけないのか?」

ハーマイオニーは苛立って「もういいわよ」と言い2人はそれ以降は食事の間は互いに怒り合って口を利きませんでした。ハリーはロンとハーマイオニーのいがみ合いには慣れていたので仲直りさせようとも思いませんでした。

ステーキ・キドニー・パイをせっせと食べるほうが時間の有効利用だとそう思いました。その後は好物の糖密タルトを皿一杯に盛って食べました。そしてそれは生徒が食べ終わり大広間のガヤガヤが再び立ち昇った時でした。

ダンブルドアがまた立ち上がり生徒の顔が校長のほうを向いて話し声は即座に止みました。ハリーは今や心地よい眠気を感じていました。四本柱のベッドがどこか上のほうでふかふかと暖かく待っているとそう思いました。

「さてまたしても素晴らしいご馳走を皆が消化している所で学年度始めのいつものお知らせに少し時間をいただこう」

こう言って毎年恒例のダンブルドアの新学期初日の話が始まりました。1年生及び上級生の何人かにに対して校庭内の「禁じられた森」には入ってはいけない事や管理人フィルチからの要請でこれで「462回目」になるそうです。

授業と授業の間に廊下で魔法を使ってはならん。その他もろもろの禁止事項は全て長い一覧表になり今はフィルチの事務所の扉に貼り出してあるので確かめて欲しいとの事なんだそうです。その次は先生の紹介がされました。

「今年は先生が2人替わった。グラブリー・プランク先生がお戻りになったのを心から歓迎申し上げる。魔法生物飼育学の担当じゃ。さらにご紹介するのがアンブリッジ先生。闇の魔術に対する防衛術の新任教授じゃ」

今日の最後に
これまでの組み分け帽子の歌はホグワーツの4つの寮の持つ各々の特性を述べ帽子自身の役割を語るに留まっていました。ところが今年度の歌では学校に警告を発してハリーが憶えている限りでは初めての事だったんですよね。

しかし今年はそれ以上
私の歌を聴くがよい
私の役目は分けること
されど憂えるその結果

私が役目を果たすため
毎年行う四分割
されど憂うはその後に
恐れし結果が来はせぬか

ああ願わくば聞きたまえ
歴史の示す警告を
ホグワーツ校は危機なるぞ
外なる敵は恐ろしや
我らが内にて固めねば
崩れ落ちなん内部より
既に告げたり警告を
私は告げたり警告を

いざいざ始めん組分けを

これが今回組み分け帽子が新たに付け加えた歌詞です。グリフィンドールのゴースト「ほとんど首なしニック」の説明によれば組み分け帽子はこれまでにも数回学校が大きな危機に直面していた時に警告を発したそうですね。

そしていつも「団結せよ。内側を強くせよ」と同じ忠告をするそうです。しかしハリーはスリザリンのテーブルで今年度監督生に任命され王様然と振る舞っているドラコ・マルフォイを見て「とても無理だね」と言いました。

それなら組み分け帽子は何故こんな到底できそうにもない忠告をしたんでしょうね?今ここではこう言うのが精一杯なんですよね。(苦笑)
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