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お前がアルバス・ダンブルドアを殺害した。だからニワトコの杖の真の所有者はお前だ。ヴォルデモートはこう言ってセブルス・スネイプを亡き者にしました。ヴォルデモートが「禁じられた森」に移動したのでハリーたちは城に戻りました。そこには更なる衝撃がハリーを待ち受けていました。(全3項目)

3-1.休戦宣言
ハリーはスネイプの傍らにひざまずいたままその顔をじっと見下ろしていました。その時です。出し抜けにすぐそばで甲高く冷たいヴォルデモートの声が聞こえました。あまりに近くヴォルデモートが戻って来たようでした。

そう思ったハリーはフラスコをしっかり両手に握ったまま弾かれたように立ち上がりました。ヴォルデモートの声は壁からも床からも響いて来ました。ホグワーツとその周囲一帯の地域に向かって話している事が判りました。

ホグズミードの住人やまだ城で戦っている全員がヴォルデモートの息を首筋に感じ死の一撃を受けそうなほど近くにヴォルデモートが立っているかのようにはっきりその声を聞いているのです。それは休戦宣言だったのです。

お前たちは勇敢に戦った。ヴォルデモートは勇敢さを讃える事を知っているんだそうです。しかしお前たちは数多くの死傷者を出したのだそうです。自分にまだ抵抗を続けるのなら1人また1人と全員が死ぬ事になるそうです。

そのような事は望まないんだそうです。魔法族の血が一滴でも流されるのは損失であり浪費との事でした。ヴォルデモートは慈悲深い。そこで自分は我が勢力を即時撤退するように命じるのだそうです。1時間くれるそうです。

その1時間の間に死者を尊厳を以って弔い傷ついた者の手当てをしろとの事でした。それからヴォルデモートはハリーに向かって直接話しかけて来ました。ハリーは自分に立ち向かう所か友人がハリーのために死ぬ事を許した。

ヴォルデモートはこれから1時間「禁じられた森」で待つとの事でした。もし1時間後にハリーがヴォルデモートの所に降参して出て来なければ戦いを再開するそうです。その時はヴォルデモート自身が戦闘に加わるそうです。

そしてハリーを見つけ出してハリーをヴォルデモートから隠そうとした奴は男も女も子供も最後の1人まで罰するんだそうです。そして最後にヴォルデモートは念を押すように猶予を与えるのは「1時間だ」と言ったんですよね。

ロンもハーマイオニーもハリーを見ると強く首を振りロンは「耳を貸すな」と言いハーマイオニーは激しい口調で「大丈夫よ」とそう言ったというわけですよね。そしてハーマイオニーがこう言ったというわけなんですよね。

「さあさあ城に戻りましょう。あの人が森に行ったのなら計画を練り直す必要があるわ」

3-2.大広間の入口で
ハーマイオニーはスネイプの亡骸をちらりと見てそれからトンネルの入口に急ぎました。ロンも後に続きました。ハリーは「透明マント」を手繰り寄せてスネイプを見下ろしました。どう感じていいものやら分りませんでした。

スネイプが殺害された方法とその理由に衝撃を受けていたからです。トンネルを城へと戻る間3人とも全く口を利きませんでした。しかしハリーの脳裏にはヴォルデモートが自分に向かって言ったあの声がまだ響いていました。

お前は俺様に立ち向かう所か友人たちがお前のために死ぬ事を許した。俺様はこれから1時間「禁じられた森」で待つ。1時間だ。

ロンもハーマイオニーもそうなのではないかとハリーは思いました。夜明けまではあと1時間ぐらいでしょうか。しかしあたりは真っ暗でした。ハリーたち3人は城の入口の石段へと急ぎました。そこには何の痕跡もありません。

グロウプも攻撃を仕掛けて来た相手の巨人もいません。城も異常に静かで今は閃光も見えず衝撃音も悲鳴も叫びも聞こえません。誰もいない玄関ホールの敷石は血に染まっています。ハーマイオニーが小声でこう言いました。

「みんなはどこかしら?」

ロンが先に立って大広間に入りました。ハリーは入口で足がすくみました。各寮のテーブルはなくなり大広間は人で一杯でした。生き残った人々は互いの肩に腕を回して何人かずつ集まって立っているのが見えたんですよね。

一段高い壇の上ではマダム・ポンフリーが何人かに手伝わせ負傷者の手当てをしていました。フィレンツェも傷つき脇腹から血を流して立つ事もできず体を震わせて横たわっていました。死者は真ん中に横たわっていました。

ハリーたちが「必要の部屋」を出た直後に亡くなったフレッドの亡骸は家族に囲まれていてハリーには見えませんでした。ジョージが頭の所にひざまずいてウィーズリーおばさんは胸の上に突っ伏して体を震わせていました。

おばさんの髪を撫でながらアーサー氏の頬には滝のような涙が流れていました。ハリーには何も言わずにロンとハーマイオニーは離れて行きハーマイオニーは顔を真っ赤に泣き腫らしたジニーに近づいて抱き締めたのでした。

一方ロンはビルにフラーとパーシーのそばに行きました。家族と仲直りしたばかりのパーシーはロンの肩を抱きました。ジニーとハーマイオニーが家族のほうに近寄ろうと移動したその時ハリーははっきり見てしまいました。

フレッドの隣に横たわっていたのはリーマス・ルーピンとニンファドーラ・トンクスの亡骸でした。血の気の失せた顔は静かで安らかでした。ルーピンとトンクスの亡骸を見てハリーは入口からよろよろと後退りをしました。

大広間が飛び去って小さく縮んで行くような気がしました。ハリーは胸が詰まりました。その他に誰が自分のために死んだのかを亡骸を見て確かめるなどとてもできない。ウィーズリー一家のそばに行くなどとてもできない。

ウィーズリー家のみんなの目をまともに見る事などできない。始めから自分が我が身を差し出していればフレッドは死なずに済んだかもしれないのに。それはもちろんルーピンにトンクスもまた同じというわけなんですよね。

ハリーは大広間に背を向け大理石の階段を駆け上がりました。

3-3.校長室に
ルーピンにトンクスも死んだ。感じる事ができなければいいのに。心を引き抜いてしまいたい。内臓も何もかも体の中で悲鳴を上げる全ての物を引き抜いてしまう事ができればいいとハリーは願わずにはいられませんでした。

城の中は完全に空っぽでした。ゴーストまでもが大広間の追悼に加わっているかのようです。ハリーはスネイプの最後の想いが入ったフラスコを握り締めて走り続け校長室の前に到着するその時まで速度を緩めませんでした。

石のガーゴイル像が「合言葉は?」と訊いて来てハリーは反射的に「ダンブルドア!」と叫びました。ハリーがどうしても会いたかったのがダンブルドアだったからです。ところが驚いた事にガーゴイル像は横に滑りました。

背後の螺旋階段が現れてハリーは校長室に入る事ができました。そして校長室に飛び込んだハリーはとある変化が起こっている事に気づきました。周囲の壁に掛けられている歴代校長の肖像画が何と全て空だったんですよね。

歴代校長は誰1人としてハリーを待ち受けていませんでした。どうやら全員が状況をよく見ようと城に掛けられている絵画の中に駆け抜けて行ったらしいのです。ハリーは落胆しダンブルドアの肖像画をちらりと見上げました。

そしてすぐに背を向け戸棚のいつもの所に置いてある「憂いの篩」を持ち上げて机の上に置きスネイプの「記憶」を注ぎ込みました。誰か他の人間の頭の中に逃げ込めばどんなにか気が休まる事かとハリーはそう思いました。

たとえ「あの」スネイプが遺した物であれ自分自身の想いより悪いはずはない。どうにでもなれという自暴自棄な気持ちで自分を責めさいなむ悲しみをスネイプのこの「記憶」が和らげてくれるとでも言うようだったのです。

ハリーは迷わずスネイプの「記憶」に飛び込みました。

今日の最後に
ハリーは11才の誕生日にハグリッドから「お前は魔法使いだ」と言われましたがトム・リドルつまり後のヴォルデモートに魔法使いだと告げたのはまだ校長ではなかったアルバス・ダンブルドアその人だったというわけです。

その際にトム・リドルが杖を指差し「そういう物はどこで手に入れられますか?」と訊くとダンブルドアは「全て時が来たれば」と答えダイアゴン横丁のオリバンダーの店に行って購入すれば手に入るとは言いませんでした。

その時ダンブルドアが持っていた杖は当然「ニワトコの杖」ですよね。今にして思えば意味深な言葉だなあという感じですがスネイプがニワトコの杖の真の所有者だというヴォルデモートの見解は全くの間違いだったのです。

セブルス・スネイプがニワトコの杖の真の所有者だった事は一時も一度もありませんでした。でもまあどっちにしろ「お前は忠実な良き下僕だった。これからせねばならぬ事を残念に思う」とヴォルデモートは言いましたね。

そこまで言うのなら何も命を奪わなくてもいいのにと私は思ってしまいますね。ゲラート・グリンデルバルドもグレゴロビッチも生きていました。だからつまりは殺害しなくてもニワトコの杖の所有権は移動するんですよね。

でもヴォルデモートはかつて殺害する必要のないハリーのお母さんも命を奪ってしまいました。ヴォルデモートってそういう人なんでしょうね。そのためにスネイプもまた死ぬ羽目になってしまったというわけなんですよね。
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