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ハリーたちの身柄を拘束した人さらい一味のリーダーは数いる中でも最も嫌悪感を催す狼人間のフェンリール・グレイバックでした。ロンを捕まえた一味とは違ってこのグループはスカピオールという男が鋭くロンの嘘を見抜きました。そしてついには最悪の事態へと発展してしまいました。(全3項目)

3-1.希望の光が見えて来た?
ホグワーツではどの寮だった?この問いにハリーが「スリザリン」と答えるのを聞いてスカピオールは捕まった奴はみんなそう言えばいいと思っている。なのに談話室がどこにあるか知っている奴は1人もいないと言いました。

「地下室にある。壁を通って入るんだ。髑髏とかそんな物が沢山あって湖の下にあるから明かりは全部緑色だ」

ハリーははっきりとこう言いました。ハリーは2年生の時にポリジュース薬でゴイルに成り済ましスリザリンの談話室に潜入してドラコ・マルフォイを尋問した事があるのです。一瞬間が空いてスカピオールはこう言いました。

「ほうほうどうやら本物のスリザリンのガキを捕めえたみてぇだ。良かったじゃねえかバーノン。スリザリンには穢れた血はあんまりいねえからな。親父は誰だ?」

最後の問いにハリーは「魔法省に勤めている。魔法事故惨事部だ」とでまかせを言いました。ちょっと調べれば嘘は全部ばれる事は判っていましたがハリーはどうせ時間稼ぎだし顔が元通りになれば万事休すだと思いました。

するとスカピオールがグレイバックにそう言えばあそこにダドリーって奴がいると思うと言いました。ハリーは息が止まりそうでした。運が良ければこの場面から無事逃れられるかもしれないとそう思ったからなんですよね。

ハリーは「何と何と」と言うグレイバックの冷酷な声に微かな動揺を感じ取りました。グレイバックは魔法省の役人の息子を本当に縛り上げてしまったかもしれぬと疑問を感じているのです。グレイバックはこう言いました。

「もし本当の事を言っているなら醜男さんよ魔法省に連れて行かれても何も恐れる事はない。お前の親父が息子を連れ帰った俺たちに褒美をくれるだろうよ」

ハリーの心臓は肋骨を縛るロープを激しく打っていました。ハリーはグレイバックにその動きが見えても不思議ではないとそう思いました。それに口は乾き切っていました。ハリーは自分たちを放してと訴えようとしました。

3-2.ついにしかも思わぬ形で
するとテントの中で「ヘイ!これを見ろよグレイバック!」と叫ぶ声がして黒い影が急いでこっちへとやって来ました。杖灯りで銀色に輝く物が見えました。連中は「グリフィンドールの剣」を見つけて持って来たのでした。

グレイバックはそれを受け取って感心したように「すーっげえもんだ」と言いました。そして「いやあ立派なもんだ。小鬼製らしいなこれは」と言うとハリーに「こんな物をどこで手に入れた?」と訊いて来たんですよね。

ハリーは「僕のパパのだ。薪を切るのに借りて来た」とまた嘘をつきました。駄目で元々だが暗いのでグレイバックには柄のすぐ下に彫ってある文字が見えない事をハリーは願いました。ところがだったというわけですよね。

「グレイバックちょっと待った!これを見てみねぇ予言者をよ」

スカピオールがこう言ったちょうどその時になってハリーの額の傷痕に激痛が走りました。現実に周囲にある物よりもっとはっきりとハリーは聳え立つ建物を見ました。それは人を寄せ付けない真っ黒で不気味な要塞でした。

ヴォルデモートの想念が急にまた鮮明になりました。巨大な建物に向かって滑るように進んで行くヴォルデモートは「近いぞ。近いぞ」という陶酔感を感じながら冷静に目的を果たそうとしています。でも今はこの状況です。

ハリーは意志の力を振り絞りヴォルデモートの想念に対して心を閉じて今いる現実の場所に自分を引き戻しました。ハリーは暗闇の中でロンにハーマイオニーとディーンそれにグリップフックたちと縛りつけられていました。

「ア(ハ)ーマイオニー・グレンジャー。ア(ハ)リー・ポッターと一緒に旅をしている事が判っている。穢れた血」

スカピオールがこう読み上げていました。沈黙の中でハリーの傷痕は焼けるように痛みましたがハリーは現実のその場に留まるようヴォルデモートの心の中へと滑り込まないようにと極限まで力を振り絞って踏ん張りました。

「譲ちゃんよ驚くじゃないか。この写真は何ともはやあんたにそっくりだぜ」

グレイバックはハーマイオニーの前に屈み込みこう言いました。ハーマイオニーは「違うわ!私じゃない!」と否定しましたが怯えた金切り声で応えられては告白しているのも同然でグレイバックは低い声でこう言いました。

「ハリー・ポッターと一緒に旅をしている事が判っている」

その場は静まり返りました。傷痕が激しく痛みましたがハリーはヴォルデモートの想念に引き込まれないように全力で抵抗を続けました。自分の心を保つのが今ほど大切だった事はない。一方グレイバックはこう囁きました。

「すると話は全て違って来るな」

3-3.ついにばれてしまった!
誰も口を利きません。ハリーは人さらい一味が身動きもせずに自分を見詰めているのを感じ取りました。そしてハーマイオニーの腕の震えが自分の腕に伝わって来るのを感じました。ハーマイオニーも思っているんでしょう。

こんな形でハリーだと気づかれるなんてと。グレイバックは立ち上がると再びハリーの前に屈み込んで膨れ上がったハリーの顔をじっと見詰めると指を引き伸ばされた傷痕に押しつけ低い声でこう訊いて来たというわけです。

「額にあるこれは何だバーノン?」

グレイバックの腐臭のする息がハリーの鼻を突いてハリーは我慢ができずに思わず「触るな!」と叫びました。痛みで吐きそうでした。グレイバックは「ポッター眼鏡を掛けていたはずだが?」と囁くように訊いて来ました。

すると後ろのほうをこそこそ歩き回っていた一味の1人が「眼鏡があったぞ!テントの中に眼鏡があった。グレイバックちょっと待ってくれ」と言いました。数秒後膨らんだハリーの顔に眼鏡が押しつけられたというわけです。

人さらい一味は今やハリーを取り囲んで覗き込んでいました。グレイバックは「間違いない!俺たちはポッターを捕まえたぞ!」と言いました。人さらい一味は自分たちのした事に呆然自失として全員が数歩退くほどでした。

現実の世界に留まろうと必死に奮闘を続けていたハリーは何も言うべき言葉を思いつきませんでした。バラバラな映像がハリーの心の表面に入り込んで来ました。黒い要塞の高い壁の周りを自分は滑るように動き回っていた。

違う。自分はハリーだ。縛り上げられ杖もなく深刻な危機に瀕している。眼を上げて見ている。一番上の窓まで行くのだ。一番高い塔だ。自分はハリーだ。一味は低い声で自分の運命を話し合っている。飛ぶ時が来た。

「魔法省へ行くか?」と問う仲間にグレイバックは「魔法省なんぞクソ食らえだ」と唸り「あいつらは自分の手柄にしちまうぞ。俺たちは何の分け前にも与れない」と言いました。ならばグレイバックは一体どうするのか?

何と「例のあの人」つまりヴォルデモートに直接渡すと言うのです。それを聞いてスカピオールは恐れおののいていました。

今日の最後に
ハリーが初めて狼人間のフェンリール・グレイバックの名前を聞いたのは「夜の闇横丁」のボージン・アンド・バークスでドラコ・マルフォイがボージンに自分の両親と親しいと言って脅している時に名前を口にしました。

その後ハリーはクリスマス休暇に「隠れ穴」でリーマス・ルーピンから自分を噛んで狼人間にしたのはこのフェンリール・グレイバックだと聞かされグレイバックは満月の夜に獲物の近くに身を置くとその手口を聞きました。

全て計画的なのです。グレイバックは現在生きている狼人間の中でもおそらく最も残忍でできるだけ多くの人間を噛み汚染する事を自分の使命だと考えている。魔法使いを打ち負かすのに十分な数を作りたいからだそうです。

そんな狼人間のフェンリール・グレイバックをハリーが実際に見たのはアルバス・ダンブルドアが死んだあの夜です。こんな事は大変珍しいのですがダンブルドアもまたグレイバックに対する嫌悪感を隠しはしませんでした。

「今では満月を待たずに襲っているという事かな?異常な事じゃ。毎月一度では満足できぬほど人肉が好きになったのか?」

ダンブルドアがこう訊くとグレイバックは「その通りだ」などと答えダンブルドアは「はてさて多少嫌悪感を覚えるのを隠す事はできまいのう」と言葉を返しています。ダンブルドアをしてもこの物言いというわけですよね。

ところがここでの登場で印象が変わるんですよね。
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