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ついに運命のその日その時がやって来ました。ドビーが「姿くらまし」して発した音をルシウス氏が聞き咎めて地下牢にやって来たのは今度はドラコではなくピーター・ペティグリューことワームテールでした。それはハリーが全く思ってもみなかった衝撃的な借りの返し方でした。(全3項目)

3-1.予想外の驚く行動
ドビーが「姿くらまし」をしてルーナにディーンとオリバンダー翁は地下牢から脱出し遂せました。しかしその際のバチンという音をルシウス氏が聞き咎めてしまいました。でも今度来るのはドラコではなかったんですよね。

やって来るのはピーター・ペティグリューことワームテールでした。ハリーとロンの2人で組み伏せる事にしてハリーはロンに「明かりを点けたままにしておけ」と付け加えました。扉の向こう側で降りて来る足音がしました。

2人は扉の左右の壁に張りつきました。すると「下がれ。扉から離れろ。今入って行く」とワームテールの声がして扉が開きました。ワームテールはほんの一瞬地下牢の中を見詰めました。3個のミニ太陽が宙に浮かんでいます。

その明かりに照らし出された地下牢は一見して空っぽです。しかし次の瞬間にはハリーとロンがワームテールに飛びかかりました。ロンはワームテールの杖腕を押えて捻り上げハリーは口を塞いで声を封じたというわけです。

3人は無言で取っ組み合いました。ワームテールの杖から火花が飛んでヴォルデモートに与えられた例の銀の手がハリーの喉を絞めました。上の客間からルシウス氏が「ワームテールどうかしたか?」と呼びかけたんですよね。

ロンがワームテールの声を何とか真似て「何でもありません!異常ありません!」と答えました。ハリーはワームテールに喉を絞められほとんど息ができずワームテールに自分を殺害するつもりかと訊いた後こう言いました。

「僕はお前の命を救ったのに?ピーター・ペティグリュー。君は僕に借りがある!」

ハリーが息を詰まらせ金属の指を引き剥がそうとしながらこう言うと銀の指が緩みました。予想外でした。ハリーは驚きながらワームテールの口を手で塞いだままで銀の手を喉元から振り解きました。ワームテールもでした。

ワームテールのその目も恐怖と驚きで見開かれていました。僅かに衝動的な憐れみを感じた事を自分の手が告白してしまった事にワームテールもまたハリーと同じくらい衝撃を受けているようでした。ところがだったのです。

3-2.ついに「闇の印」が指で押されて
ワームテールは弱みを見せた一瞬を埋め合わせるかのようにますます力を奮って争いました。そんなワームテールにロンが「さあそれはいただこう」と小声で言いながら左手から杖を奪いました。杖も持たずに自分は1人だ。

ペティグリューの瞳孔は恐怖で広がっていました。その視線はハリーの顔から何か別のものへと移って行きました。ペティグリューの銀の指が情け容赦なく今度はハリーではなくて持ち主自身の喉元へと動いて行ったのです。

「そんな」

ハリーは何も考えずにとっさに銀の手を引き戻そうとしました。しかし止められません。ヴォルデモートが一番臆病な召し使いに与えた銀の道具は武装解除されて役立たずになった持ち主に矛先を向けたというわけですよね。

ペティグリューは一瞬の躊躇に一瞬の憐憫の報いを受けました。ハリーとロンの目の前でペティグリューは首を絞められ死んで行きました。ロンもワームテールを放し「辞めろ!」と言うと金属の指を引っ張ろうとしました。

ワームテールの喉をぐいぐい締め付けているその指をハリーと2人で引っ張ろうとしましたが無駄でした。ペティグリューの顔から血の気が引いて行きました。ロンは銀の手に杖を向け「レラシオ!放せ!」と唱えもしました。

しかし何事も起こりませんでした。ワームテールはがっくりと膝をつきました。その時ハーマイオニーの恐ろしい悲鳴が上の客間から聞こえて来ました。ワームテールは顔がどす黒くなり目が引っくり返って痙攣をしました。

そしてそれきり動かなくなりました。ハリーとロンは顔を見合せました。地下牢の床に転がったワームテールの死体を残して2人は階段を駆け上がり客間に続く薄暗い通路へと戻りました。客間の扉は半開きになっていました。

ハリーとロンは客間の扉に慎重に忍び寄りました。ベラトリックスがグリップフックを見下ろしているのがよく見えました。グリップフックは「グリフィンドールの剣」を両手で持ち上げてベラトリックスはこう訊きました。

「どうだ?本物の剣か?」

ベラトリックスの足元にはハーマイオニーが身動きもせずに倒れています。ハリーは傷痕の痛みと戦いながら待ちました。グリップフックは「いいえ。偽物です」と答えベラトリックスは喘ぎながらこう訊いて確認しました。

「確かか?本当に確かか?」

グリップフックは「確かです」と答えました。ベラトリックスの顔に安堵の色が浮かんで緊張が解けて行きました。ベラトリックスは「よし」と言うと軽く杖を振ってグリップフックの顔にもう1つ深い切り傷を負わせました。

悲鳴を上げて足元に倒れたグリップフックをベラトリックスはもう用済みとばかりに脇に蹴り飛ばしました。グリップフックは「本物です」と本当の事を言わなくても良かったというわけなんですよね。そしてだったのです。

「それでは闇の帝王を呼ぶのだ!」

ベラトリックスは勝ち誇った声でこう言うと袖をまくり上げて「闇の印」に人差し指で触れました。その途端にハリーの額の傷痕にまたしてもぱっくりと口を開いたかと思われるほどの激痛が走り現場が消え去ったのでした。

ハリーはヴォルデモートになり目の前の骸骨のような魔法使いが歯のない口をこちらに向けて笑っていました。呼び出しを感じヴォルデモートは激怒しました。ポッター以外の事で俺様を呼び出すなと警告しておいたはずだ。

あいつらに言ったはずだ。もしあいつらが間違っていたなら。そう考えているヴォルデモートに対し老人はさあ自分を殺害しろと迫りました。さらにこうも言いました。この言葉でヴォルデモートの怒りが爆発したのでした。

「お前は勝たない。お前は勝てない!あの杖は金輪際お前の物にはならない」

3-3.客間に飛び込んだが
牢獄を緑の閃光が満たして弱り切った老体は硬いベッドから浮き上がって魂の抜け殻が床に落ちました。ヴォルデモートは窓辺へと戻りました。激しい怒りは抑えようもない。この時ヴォルデモートはまだ知りませんでした。

呼び出す理由があったのです。自分を呼び出す理由がなかったらあいつらに俺様の報いを受けさせてやる。一方「マルフォイの館」の客間ではベラトリックスがグレイバックに対してこう言っていたというわけなんですよね。

「それではこの穢れた血を処分してもいいだろう。グレイバック欲しいなら娘を連れて行け」

ロンが「辞めろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」と言いながら客間に飛び込みました。驚いたベラトリックスは振り向いて杖をロンに向け直しました。ロンはワームテールの杖を向けて「エクスペリアームス!」と叫びました。

ベラトリックスの杖が宙を飛びロンに続いて客間に駆け込んだハリーがそれを捕えました。ルシウス氏にナルシッサ夫人とドラコとグレイバックが振り向きハリーは「ステューピファイ!」と叫んでルシウス氏が倒れました。

残ったドラコにナルシッサ夫人とグレイバックの杖から閃光が飛びましたがハリーは素早く床に伏せてソファの後ろに転がって閃光を避けました。ところがベラトリックスが杖を失っても黙ってはいなかったというわけです。

「辞めろ。さもないとこの娘の命はないぞ!」

ハリーは喘ぎながらソファの端から覗き見ました。ベラトリックスが意識を失っているハーマイオニーを抱え銀の小刀をその喉元に突きつけてハリーとロンにこう言いました。ロンは杖を握り締めたままで固まっていました。

「杖を捨てろ。捨てるんだ。さもないと穢れた血がどんなものかを見る事になるぞ!」

今日の最後に
そもそもシリウスがアズカバンを脱獄したのはアズカバンにやって来た魔法大臣コーネリウス・ファッジが持っていた「日刊予言者新聞」にウィーズリー一家と共に写るピーター・ペティグリューを見たからだったのです。

ペティグリューがハリーの身近にいると知りシリウスはペティグリューを殺害するためにアズカバンを脱獄しました。でも「叫びの屋敷」でシリウスとルーピンがペティグリューを殺害しようとするのをハリーが止めました。

それは自分の父親ならペティグリューみたいな裏切り者のためにシリウスとルーピンの2人の親友が殺人者になる事を望まないだろうとハリーが思ったからです。そこでハリーはこいつはアズカバンに行けばいいと言いました。

ところがペティグリューは逃げました。何もできなかった。ペティグリューは逃げてしまった。苦々しい思いを抱いていたハリーにダンブルドアは君はペティグリューの命を救うという実に気高い事をしたとそう言いました。

ダンブルドアは自分を信じるがよい。いつか必ずペティグリューの命を助けて良かったと思う日が来るだろう。自分には確信があるとまで言いました。そしてこうしてペティグリューがハリーに借りを返す日が訪れたのです。

それは心ならずも結果としてピーター・ペティグリューが自分自身の命を差し出す事でハリーへの借りが返されたんですよね。そのお陰でハリーとロンは地下牢を脱出してハーマイオニーの救助に向かう事ができたのでした。
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