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応対した年老いた小鬼のボグロッドと一緒に来た死喰い人のトラバースに「服従の呪文」をハリーがかけてハリーたちは何とかトロッコに乗り込みました。しかしハリーの懸念は今度は杞憂には終わりませんでした。不安は的中してしまったのです。(全3項目)

3-1.ホールを抜けて石のトンネルに
ハリーに「服従の呪文」をかけられた年老いた小鬼は「よしよし!ではマダム・レストレンジこちらへ」と言うと丸椅子から飛び降りて姿が見えなくなり「私が金庫までご案内いたしましょう」と言う声が聞こえて来ました。

そしてカウンターの端から現れて革袋の中身をガチャつかせながらいそいそと小走りでやって来ました。これもまたハリーに「服従の呪文」をかけられたトラバースは口をだらりと開けて棒のように突っ立っていたのでした。

ロンがぽかんとしてトラバースを眺めているそのせいで周囲の目がこの奇妙な現象に引きつけられていました。別の小鬼がカウンターの向こうからあたふたと走って来て「待て。ボグロッド!」と年老いた小鬼に言いました。

「私どもは指令を受けております。マダム・レストレンジ申し訳ありませんがレストレンジ家の金庫に関しては特別な命令が出ています」

その小鬼はハーマイオニーに一礼しながらこう言いました。その小鬼がボグロッドの耳に急いで何事かを囁きましたがハリーに「服従」させられているボグロッドはその小鬼を振り払いました。そしてこう言ったんですよね。

「指令の事は知っています。マダム・レストレンジはご自分の金庫にいらっしゃりたいのです。旧家です。昔からのお客様です。さあこちらへどうぞ」

そして相変わらずガチャガチャと音を立てながらボグロッドはホールから奥に続く無数の扉の1つに急ぎました。ハリーが振り返って見るとトラバースは異常に虚ろな顔をして同じ場所に根が生えたように立っていたのでした。

ハリーは意を決して杖を一振りしトラバースに従いて来させました。トラバースは後ろからおとなしく従いて来ました。一行は扉を通りその向こうのゴツゴツした石のトンネルに出ました。松明がトンネルを照らしています。

3-2.トロッコに乗り込み
背後で扉がバタンと閉まるのを待って「透明マント」を脱いだハリーが「困った事になった。小鬼たちが疑っている」と言いました。グリップフックはハリーの肩から飛び降りボグロッドもトラバースも全くの無反応でした。

ボグロッドもトラバースもハリーに「服従の呪文」をかけられているのでハリー・ポッターが突然その場に現れても驚く気配を全く見せませんでした。無表情に立つ2人を見てハーマイオニーとロンは困惑した顔で尋ねました。

その問いにハリーはこの2人は「服従」させられているんだと答え「僕は十分強く呪文をかけられなかったかもしれない。分らないけど」とも言いました。その時また別の思い出がハリーの脳裏をかすめたというわけですよね。

ハリーが初めて「許されざる呪文」を使おうとした時に本物のベラトリックス・レストレンジが甲高く「本気になる必要があるんだポッター!」と叫んだ声でした。小鬼に疑われていると聞いてロンがこう言ったんですよね。

「どうしよう?まだ間に合う内にすぐここを出ようか?」

ロンのこの問いにハーマイオニーがホールに戻る扉を振り返りながら「出られるものならね」と答えました。その扉の向こう側で何が起こっているのか分ったものではありません。そこでハリーはこう言ったというわけです。

「ここまで来た以上先に進もう」

するとグリップフックが「結構!それではトロッコを運転するのにボグロッドが必要です。私にはもうその権限がありません。しかしあの魔法使いの席はありませんね」と言いハリーはトラバースに杖を向けこう唱えました。

「インペリオ!服従せよ!」

トラバースは回れ右して暗いトンネルをきびきびと歩き始めました。グリップフックが「何をさせているんですか?」と訊きハリーは今度はボグロッドに杖を向けながら「隠れさせている」とそう答えたというわけですよね。

ボグロッドが口笛を吹くと小さなトロッコが暗闇からこちらに向かって線路を走って来ました。全員がトロッコによじ登り先頭にボグロッドが後ろの席にはグリップフックとハリーにロンとハーマイオニーが乗り込みました。

4人がぎゅう詰めになって乗り込んだ途端ハリーは背後のホールから確かに叫び声が聞こえたように思いました。しかしトロッコは発車してどんどん速度を上げました。ハリーが隠れさせたトラバースも途中で垣間見えました。

トラバースは壁の割れ目に体を押し込もうとして身をよじっていました。トロッコはその横をあっという間に通り過ぎくねくね曲がる坂道の迷路を下へ下へと走りました。

3-3.線路に叩きつける滝
ガタゴトと線路を走るトロッコの音に掻き消されハリーは何も聞こえなくなりました。天井から下がる鍾乳石の間を飛ぶように縫いどんどん地中深く潜って行くトロッコに髪をなびかせながらハリーは何度も振り返りました。

自分たちは膨大な手がかりを残して来たのも同然だった。考えれば考えるほどハーマイオニーをベラトリックスに変身させたのは愚かだったとハリーは後悔し始めていました。誰がその杖を盗んだのか死喰い人は判っていた。

ベラトリックスの杖を盗んだのは自分たちだと死喰い人には判っているのにその杖を持って来るなんて。そんなハリーの後悔の念を乗せてトロッコはハリーが入った事のないグリンゴッツの奥深くへと入り込んで行きました。

ヘヤピンカーブを高速で曲がった途端に線路に叩きつけるように落ちる滝が目に飛び込んで来ました。滝まではあと数秒もありません。グリップフックが「駄目だ!」と叫ぶ声がハリーの耳に入って来ましたが止まれません。

止まる所かブレーキを利かせる間もありません。トロッコは滝に突っ込みました。ハリーは目も口も水で塞がれ何も見えず息もできませんでした。トロッコはぐらりと恐ろしく傾いたかと思うと引っくり返ってしまいました。

当然全員が投げ出されました。トロッコがトンネルの壁にぶつかって粉々になる音が聞こえましたがハーマイオニーが何かを叫ぶ声も聞こえました。その瞬間にハリーは無重力状態ですんなりと地面へと戻るのを感じました。

ハリーは何の苦もなく岩だらけのトンネルに着地しました。ハーマイオニーが叫んだのは「クッション呪文」だったのです。

今日の最後に
ハーマイオニーをポリジュース薬でベラトリックス・レストレンジに変身させたのは間違いだった。ハリーがそう思い始めたのはハーマイオニーのダイアゴン横丁への入場があまりにも派手になり目立ち過ぎた時からでした。

しかしそこに死喰い人のトラバースが現れてしまいハリーたち一行は引き返す事ができなくなってしまいました。さらにトラバースの行き先もまたグリンゴッツだったためにトラバースが一緒に従いて来てしまったんですよね。

そのためハリーは応対した年老いた小鬼のボグロッドに加えてトラバースにも「服従の呪文」をかける事を余儀なくされました。そしてグリンゴッツに到着してからもハリーの後悔の念はさらに強まる事となったんですよね。

身分証明書の代わりに杖を見せて欲しいと言うボグロッドの差し出す手が微かに震えているのを見てハリーは気がついてぞっとしました。グリンゴッツの小鬼たちはベラトリックスの杖が盗まれたという事を知っているのだ。

トロッコに乗ってからもハリーは何度も後ろを振り返りました。膨大な手がかりを残して来たのも同然だった。考えれば考えるほどハーマイオニーをベラトリックスに変身させたのは愚かだった。そしてその時が来ましたね。

ハリーたちが乗るトロッコは線路に叩きつけるように落ちる滝に突っ込み全員が投げ出されました。ハーマイオニーのかけた「クッション呪文」で怪我はせずに済みましたがハリーたちが盗人だと気づかれたというわけです。

でも実はこれで良かったんですよね。
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