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分魂箱の最後の隠し場所が「ホグワーツ」だと判ってハリーたちはヴォルデモートよりも早くホグワーツに入らなくてはならないと取り急ぎホグズミードに向かいました。しかし当然の如く敵方の闇の陣営もハリーたちが来るのを判っていて待ち構えていました。ところがでした。(全3項目)

3-1.ホグズミードに到着したが
ハリーの足が道路に触れて胸が痛くなるほどに懐かしいホグズミードの大通りが目に入りました。暗い店先。村の向こうには山々の黒い稜線。道の先に見えるホグワーツへの曲がり角には「三本の箒」の窓から漏れる明かり。

そしてほぼ1年前に絶望的に弱っていたダンブルドアを支えてここに降り立った時の事が細部まで鮮明に思い出されてハリーは心が揺さぶられました。降り立った瞬間にそうした全ての想いが一度に押し寄せたというわけです。

しかしその時でした。ロンとハーマイオニーの腕を掴んでいたその手を緩めた時に事は起こりました。ギャーッという叫び声が空気を切り裂きました。カップを盗まれたと知った時のヴォルデモートの叫びのような声でした。

ハリーは神経という神経を逆撫でされるように感じました。自分たち3人が現れた事が引き金になったのだとハリーはすぐに判りました。マントに隠れたロンとハーマイオニーを振り返る前に「三本の箒」の入口が開きました。

扉を勢いよく開けてフードを被ったマント姿の十数人の死喰い人が杖を構えて道路へと躍り出て来ました。ロンは杖を上げましたがその手首をハリーが押さえました。失神させるには数が多過ぎる。それだけではありません。

呪文を発するだけで敵に居所を教えてしまうからです。死喰い人の1人が杖を振ると叫び声は止まりました。しかしまだ遠くの山々にこだまが続いています。死喰い人が大声で「アクシオ!透明マントよ来い!」と唱えました。

ハリーはマントの折り目をしっかり掴みましたがマントは動く気配さえなく「呼び寄せ呪文」は「透明マント」には効きませんでした。呪文をかけた死喰い人が「被り物はなしという事か。え。ポッター?」と叫びました。

それから「散れ。奴はここにいる」と仲間に指令を出しました。6人の死喰い人がハリーたちに向かって走って来ました。ハリーたち3人は急いで後退りして近くの脇道に入りましたが死喰い人たちはすぐ近くを通り過ぎました。

ハリーたちから十数センチという所です。3人が暗闇に身を潜めてじっとしていると死喰い人の走り回る足音が聞こえて捜索の杖灯りが通りを飛び交うのが見えました。するとハーマイオニーがこう囁いて来たというわけです。

「このまま逃げましょう!すぐに姿くらまししましょう!」

ところがだったのです。

3-2.絶体絶命のピンチだったが
ロンも「そうしよう」と即座に同意しました。ところがハリーが答える前に1人の死喰い人が「ここにいるのは判っているぞポッター。逃げる事はできない。お前を見つけ出してやる!」と言ってハリーは2人にこう囁きました。

「待ち伏せされていた。僕たちが来れば判るようにあの呪文が仕掛けてあったんだ。僕たちを足止めするためにも何か手が打ってあると思う。袋のねずみに」

ハリーがまだ言葉を言い終わらない内に別の死喰い人が「吸魂鬼はどうだ?奴らの好きにさせろ。奴らならポッターをたちまち見つける!」と叫びました。すると今度はこう反論をする声が聞こえて来たというわけですよね。

「闇の帝王は他の誰でもなくご自身の手でポッターを始末なさりたいのだ」

これに対してその死喰い人は吸魂鬼はハリーを殺害はしない。闇の帝王がお望みなのはハリーの命だ。魂ではない。まず吸魂鬼にキスさせておけばますます殺害はし易いだろうとそう応えて口々に賛成する声が聞こえました。

ハリーは恐怖に駆られました。吸魂鬼を追い払うためには守護霊を創り出さなくてはなりません。しかしもしそうすればたちまち3人の居場所が判ってしまいます。するとハーマイオニーがこう囁いたというわけなんですよね。

「とにかく姿くらまししてみましょうハリー!」

またしても言葉の途中でハリーは不自然な冷気が通りに忍び込むのを感じました。周りの明かりは吸い取られ星までもが消えました。真っ暗闇の中でハーマイオニーは「姿くらまし」をしようとしましたが駄目だったのです。

通り抜けるべき空間の空気が固まってしまったかのようでした。死喰い人のかけた呪文は見事に効いていて「姿くらまし」はできませんでした。吸魂鬼の冷たさがハリーの肉に次第に深く食い込んで来たというわけですよね。

ハリーたち3人は手探りで壁を伝いながら音を立てないように脇道を奥へ奥へと入り込みました。すると脇道の入口から音もなく滑りながらやって来る吸魂鬼が見えました。十体以上います。周りの暗闇よりさらに濃い黒です。

だからそれと判るのです。吸魂鬼は黒いマントを被り瘡蓋に覆われた腐った手を見せています。周辺に恐怖感があるとそれを感じ取るのでしょうか?さっきより速度を上げて近づいて来るようなのでハリーはそう思いました。

ハリーが大嫌いなあのガラガラという息を長々と吸い込みあたりを覆う絶望感を味わいながら吸魂鬼が迫って来ます。後はどうなろうとも吸魂鬼のキスだけは受けられるものかとそう思いハリーは杖を上げたというわけです。

「エクスペクトパトローナム!守護霊よ来たれ!」

小声でこう呪文を唱えた時ハリーが思い浮かべていたのはロンとハーマイオニーの事でした。銀色の牡鹿がハリーの杖が飛び出し突撃しました。吸魂鬼は蹴散らされましたが見えない所から勝ち誇った叫び声が聞こえました。

「奴だ。あそこだあそこだ。あいつの守護霊を見たぞ。牡鹿だ!」

吸魂鬼は後退して星が再び瞬き始めました。しかし死喰い人たちの足音が段々大きくなって来ました。ハリーは恐怖と衝撃でどうすべきなのかと決めかねていました。すると何と近くて閂を外す音が聞こえて来たんですよね。

狭い脇道の左手の扉が開いてガサガサした声が「ポッターこっちへ早く!」と言いました。ハリーは迷わず従いました。ロンとハーマイオニーもでした。3人は開いた扉から中に飛び込みました。その声がこう呟いたのでした。

「2階に行け。マントは被ったまま静かにしていろ!」

3-3.ハリーたちが逃げ込んだのは「ホッグズ・ヘッド」
背の高いその誰かはハリーたちに2階に行くようにと呟きながら3人の脇を通り抜けて外に出て行きハリーたちの背後で扉を閉めました。ハリーは自分たちが招き入れられた所が一体どこなのかが全く分からなかったのでした。

しかし明滅する1本の蝋燭の明かりで改めて見てみるとそこはおが屑の撒き散らされた汚らしい「ホッグズ・ヘッド」のバーだと判りました。3人はカウンターの後ろに掛け込むと別のもう1つの扉を通ったというわけですよね。

そしてぐらぐらする木の階段を急いで上がりました。階段の先は擦り切れたカーペットの敷かれた居間で小さな暖炉がありその上にはどこか虚ろな優しい表情で部屋を見詰めているブロンドの少女の大きな油絵がありました。

下の通りで喚く声が聞こえて来ました。ハリーたち3人は言われた通りに「透明マント」を被ったまま埃でべっとり汚れた窓に忍び寄って下を見ました。ハリーは救い主が「ホッグズ・ヘッド」のバーテンだと判っていました。

その救い主1人だけがフードを被っていませんでした。バーテンはフード姿の1人に向かって大声で「それがどうした?」と大声で言いさらにこう言っていました。どうやら守護霊は自分が出したとそう主張しているようです。

「それがどうしたって言うんだ?お前たちが俺の店の通りに吸魂鬼を送り込んだから俺は守護霊をけしかけたんだ!あいつらにこの周りをうろつかれるのはご免だ。そう言ったはずだぞ。あいつらはお断りだ!」

すると死喰い人の1人が「あれは貴様の守護霊じゃなかった!牡鹿だった。あれはポッターのだ!」と怒鳴りました。するとバーテンは「牡鹿!」と怒鳴り返して杖を取り出し「牡鹿!この馬鹿」と言ったというわけですよね。

そしてバーテンは「エクスペクトパトローナム!守護霊よ来たれ!」と呪文を唱えたというわけなんですよね。

今日の最後に
ハリーはこの「ホッグズ・ヘッド」のバーテンに二度会った事があります。当然一度目は5年生の時にハーマイオニーが「闇の魔術に対する防衛術」の自習グループ後の「ダンブルドア軍団」の第一回会合を開催した時でした。

最初に見た時にハリーは何となく見覚えがあるとそう思いましたが実は夏休みの最終日にグリモールド・プレイス12番地でマッド・アイ・ムーディが見せてくれた不死鳥の騎士団の創立メンバーの写真で見ていたんですよね。

この「ホッグズ・ヘッド」はハリーが1年生の時にハグリッドがドラゴンの卵を手に入れた所でもありました。この初めて来た時にハリーは顔を隠している客が沢山いるのを見てハグリッドが怪しまなかった理由を知りました。

二度目に会ったのはハリーが6年生の時でホグズミード行きが許可された日の事でした。このバーテンはマンダンガス・フレッチャーと一緒にいました。つまりこの時に何をしていたのかが問題になって来るというわけですね。

この直後にハリーたちはマルフォイの館にドビーを送り込んだのがこの「ホッグズ・ヘッド」のバーテンだと知る事になるというわけなんですよね。
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