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ハリーは苛立っていました。それと言うのも先学期末にヴォルデモートが復活したのに「日刊予言者新聞」にもその記事が掲載されずテレビのニュース番組をチェックしていても収穫なしだったからです。ところがそんな事など全て吹き飛ぶ出来事が起きてしまったのでした。(全3項目)

3-1.苛立つハリー
この夏一番の暑い日が暮れようとしていました。この日のハリー・ポッターはプリベット通り4番地の居間の窓の真下にある花壇に寝転がっていました。その目的は7時のニュース番組を聞くためだったというわけなんですよね。

それはハリーが居間に入ってテレビを見ようとするとダーズリー夫妻がニュースが聞こえなくなるほどの音で歯噛みをしたり意地悪な質問をぶつけて来たりと邪魔立てをして来るのです。それなら何故7時のニュースなのか?

この夏ハリーは「日刊予言者新聞」を定期購読していました。しかしハリーが待っている記事は一向に載りません。この頃は一面記事に目を通すと即座に新聞を捨てていました。購読を続ける意味があるのかと思うほどです。

新聞を発行している間抜けな連中はいつになったらヴォルデモートが復活した事に気づいて一面大見出しで知らせてくれるのだろうとハリーは苛立っていました。実はそれはふくろう便もそうだったというわけなんですよね。

何でもハーマイオニーが送って来た手紙によると行方不明になるかもしれないので重要な事は書かないようにと言われているんだそうです。手紙の内容から察するにロンとハーマイオニーはどうやら同じ所にいるようでした。

それもまたハリーの苛立ちを募らせていました。そしてこの日も何の収穫もなく7時のニュースが終わった上に居間の窓の真下の花壇にいるのをバーノン叔父さんに見つかってしまって言い争いの末に退散する事になりました。

ハリーがバーノン叔父さんに見つかったのは鉄砲でも撃ったかのような「バシッ」という大きな音がしたからです。その音でバーノン叔父さんが居間の窓から首を出したからです。そのためハリーは見つかってしまいました。

ハリーはマグノリア・クレセント通りでダドリーと一緒になりました。ダーズリー夫妻はダドリーが帰って来た時が正しい帰宅時間でそれ以降は遅刻だと思っているようでした。そこでハリーはダドリーと帰路に着きました。

そこで事は起こったのです。

3-2.まさかここリトル・ウィンジングに
ダドリーがまるで冷水を浴びせられたかのようにして奇妙な身の毛のよだつ声を上げ息を呑みました。何かが夜を変えました。星を散りばめた群青色の空が突然光を奪われて真っ暗闇になり星も月も消え去ってしまいました。

路地の両端の道にある街灯の明かりまでもが消えました。遠くに聞こえる車の音も木々の囁きも途絶えました。さらに突然突き刺すように身を切るように冷たくなりました。2人は逃げ場のない暗闇に完全に取り囲まれました。

一瞬ハリーはそんなつもりもなく必死で我慢していたのに魔法を使ってしまったのかと思いました。やがて理性が感覚に追いつきました。自分には星を消す力などない。ハリーは何か見える物はないかと首を回したのでした。

しかし暗闇は無重力のベールのようにハリーの目を塞いでいました。恐怖に駆られたダドリーが「な何をするつもりだ?や辞めろ!」と言ってハリーは「僕は何もしていないぞ!黙っていろ。動くな!」と答えたんですよね。

ハリーは見えない目を左右に走らせながら身じろぎもせずに立っていました。激しい冷気でハリーは全身が震えていました。ハリーは開けられるだけ大きく目を開けると周囲に目を凝らしましたが何も見えはしませんでした。

そんな事は不可能だ。あいつらがまさかここにいるはずはない。リドル・ウィンジングにいるはずがない。そう思いながらハリーは耳をそばだてました。あいつらなら見えるより先に音が聞こえるはずとハリーは思いました。

「パパにい言いつけてやる!ど、どこにいるんだ?な何をして?」

こう喚くダドリーにハリーは歯を食い縛ったまま「黙っててくれないか?聞こうとしてるんだから」と囁きました。ハリーは突然沈黙しました。何故ならばその理由はハリーがまさに恐れていた音を聞いたからだったのです。

路地にはハリーとダドリーの他に「それ」がいました。それはガラガラと音を立て長々と息を吸い込んでいました。ハリーは恐怖に打ちのめされ凍りつくような外気に震えながら立ち尽くしたのでした。そしてだったのです。

「や辞めろ!こんなこと辞めろ!殴るぞ!本気だ!」

ハリーは「ダドリー黙れ」と言おうとしましたがこんな短い言葉さえ言い終わらない内にダドリーの拳がハリーの側頭に命中してハリーは吹き飛びました。ハリーは地面に打ちつけられて杖を取り落としてしまったのでした。

「ダドリー戻るんだ。あいつのほうに向かって走ってるぞ!」

恐ろしい叫び声がしてダドリーの足音が止まりました。同時にハリーは背後にも冷気を感じました。間違いない。相手は複数いるとハリーはそう思いました。ハリーはダドリーに向かってこのように言ったというわけですよね。

「ダドリー口を閉じろ!何が起こっても口を開けるな!」

そしてハリーは落とした杖を見つけようと両手を地面に這わせました。

3-3.やっとの事で
杖を探すのに必死で明かりを求めてハリーは思わず「ルーモス!光よ!」と呪文を唱えました。すると何と有り難い事に杖先に灯りが点りハリーは杖を掴むと慌てて立ち上がって振り向きました。すると「それ」はいました。

フードを被った聳え立つような影つまり吸魂鬼が地上に少し浮かんでハリーに向かって来ます。足も顔もローブに隠れた姿が夜を吸い込みながらハリーへと近づいて来ます。よろけながら後退りしてハリーは杖を上げました。

「守護霊よ来たれ!エクスペクト・パトローナム!」

銀色の気体が杖先から飛び出して吸魂鬼の動きが鈍りました。しかし呪文はきちんとかかりませんでした。ハリーは覆いかぶさって来る吸魂鬼から逃れて縺れる足でさらに後退りしました。恐怖で頭がぼんやりしていました。

ハリーは「集中しろ」と自分に言い聞かせました。ローブの中から吸魂鬼の2本の手が滑り出てハリーのほうに伸びて来ました。ハリーは耳鳴りがしました。ハリーは自分の声を遠くにぼんやり聞きつつ再び呪文を唱えました。

「エクスペクト・パトローナム!」

最初のより弱々しい銀色の煙が杖から漂いました。もうこれ以上できない。呪文が効かない。ハリーの頭の中で高笑いが聞こえました。鋭く甲高い笑い声です。何か幸せな事を考えろとハリーは自分に言い聞かせたのでした。

しかし幸せな事は何もない。吸魂鬼の氷のような指がハリーの喉元に迫りました。甲高い笑い声はますます大きくなります。ハリーの頭の中で聞こえたのは先学期末に対決したヴォルデモートの声だったというわけですよね。

「死にお辞儀するのだハリー。痛みもないかもしれぬ。俺様には分るはずもないが。死んだ事がないからな」

もう二度とロンやハーマイオニーに会えない。息をつこうともがくハリーの心にロンとハーマイオニーの顔がくっきりと浮かび上がりました。ハリーは三度目の「守護霊の呪文」を唱えたというわけですよね。するとでした。

「エクスペクト・パトローナム!」

ハリーの杖先から巨大な銀色の牡鹿が噴出しました。その角が吸魂鬼の心臓に当たるはずの場所を捉えました。吸魂鬼は後ろに投げ飛ばされて敗北し飛び去りました。ハリーは牡鹿に向かって「こっちへ!」と叫びました。

もう一体の吸魂鬼はダドリーの上に屈み込み両腕をこじ開けてまさにキスしようとしていました。ハリーは大声で「やっつけろ!」と言いました。守護霊はその角で吸魂鬼を空中に放り投げました。これで事は解決しました。

月も星も街灯も急に生き返りました。今しがた起こった事がハリーは信じられませんでした。吸魂鬼がここリトル・ウィンジングに現れたからでした。

今日の最後に
ハリーも「まさかここリトル・ウィンジングに吸魂鬼が現れるはずがない」という思いで不意を衝かれた格好になってしまいましたね。それがために「守護霊の呪文」を三度も唱える事になってしまったというわけですよね。

最初の守護霊は形にならず銀色の気体で吸魂鬼は動きを鈍くしただけでした。二度目はさらに弱々しい守護霊でハリーは呪文を唱える自分の声を遠くにぼんやりと聞きました。三度目でようやく牡鹿の守護霊を創れましたね。

ロンとハーマイオニーの顔がハリーの心にくっきりと浮かび上がったからでした。ところで吸魂鬼というのは近づいた時にその人にとって最悪の記憶を蘇らせます。今回ハリーの最悪の記憶は以前と内容が変わっていました。

先学期末復活直後のヴォルデモートと対決した時の記憶がハリーは蘇っていました。その前は1才3ヵ月の時に両親がヴォルデモートに殺害された時の記憶でした。ハリーはヴォルデモートに危うく殺害されそうになりました。

内容は変わりましたがいずれもヴォルデモート絡みの記憶ですよね。
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