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クィディッチ・ワールドカップの時にクラウチ・ジュニアがしたように父親のクラウチ氏もまたヴォルデモートにかけられた「服従の呪文」を破り始めました。そしてワームテールが警戒を怠ったためクラウチ氏は逃げました。ホグワーツに逃げ込んで来た父親のクラウチ氏をクラウチ・ジュニアは・・・(全3項目)

3-1.突然現れたクラウチ氏
クィディッチ・ワールドカップの決勝戦の日に続いてハリーは今度は10月30日にバーテミウス・クラウチ氏の顔を見る事になりました。百年以上ぶりに三大魔法学校対抗試合が復活開催される事に尽力をしたからだそうです。

クラウチ氏は魔法省の魔法ゲーム・スポーツ部の部長でこれもクィディッチ・ワールドカップの際に会ったルード・バグマン氏と共に三校対抗試合の審査員に加わる事になってハリーは「第1の課題」の時も顔を見たのでした。

ところがです。クリスマス・ダンスパーティの時にはクラウチ氏は姿を現さず部下のパーシー・ウィーズリーが代わりに出席しました。クラウチ氏は「第2の課題」の時も現れず代わりにパーシーが審査員を務めたんですよね。

「第2の課題」終了後ハリーたちは食料を届けにシリウスの隠れ家に行きましたがシリウスは姿を見せなくなったクラウチ氏の事をらしくない。これまでのクラウチ氏なら1日たりとも病気で欠勤したりしないと訝っていました。

ところがだったのです。そんなクラウチ氏が突然ホグワーツに姿を現しました。それは三校対抗試合の最終課題つまり「第3の課題」のちょうど1ヵ月前でした。ハリーは課題の内容を聞きにクィディッチ競技場に行きました。

説明が終わるとダームストラングの代表選手のビクトール・クラムがハリーと話したいと言うので2人は一緒にクィディッチ競技場を出て「禁じられた森」の近くの空き地で話しました。そこにクラウチ氏が姿を現したのです。

クラムの背後の木立の中で何かが動いたので「禁じられた森」にうごめく生き物についていささかの経験があるハリーは本能的にクラムの腕を掴み体の向きを変えさせました。クラムは「何だ?」とハリーに訊いて来ました。

ハリーは頭を横に振ると動きの見えた場所をじっと見ました。そしてローブに手を滑り込ませて杖を掴みました。大きな樫の木の陰から突然1人の男がよろめきながら姿を現しました。一瞬ハリーは誰なのかが分りませんでした。

そして気づきました。クラウチ氏だったのです。

3-2.忽然と消えたクラウチ氏
クラウチ氏は何日も旅をして来たように見えました。ローブの膝は破れ血が滲んでいます。顔は傷だらけで不精鬚が伸び疲れ切って灰色でした。きっちりと分けてあった髪も口髭も伸びて汚れ放題だったというわけですよね。

しかしその奇妙な格好も行動の奇妙さに比べれば何でもありません。身振り手振りでクラウチ氏は自分にしか見えない誰かと話しているかのようです。ハリーは一瞬迷いましたがゆっくりとクラウチ氏に近づいて行きました。

「それが終わったらウェーザビー。ダンブルドアにふくろう便を送って試合に出席するダームストラングの生徒の数を確認してくれ。カルカロフがたった今12人だと言って来た所だが」

クラウチ氏はそばに来たハリーには目もくれず近くの木にこう話していました。ハリーは慎重に「クラウチさん?」と声をかけました。クラウチ氏は目が飛び出ていました。じっと木を見詰めて立ち声も出さず話しています。

「それからマダム・マクシームにもふくろう便を送るのだ。カルカロフが1ダースという切りのいい数にしたと知ったらマダムのほうも生徒の数を増やしたいと言うかもしれない。そうしてくれウェーザビー頼んだぞ頼ん」

するとクラウチ氏はよろよろと脇に逸れて崩れ落ちるようにして膝をつきました。ハリーは今度は大声で「クラウチさん?大丈夫ですか?」と呼びました。どうやらクラウチ氏はようやくハリーの存在に気づいたようでした。

「ダンブルドア!私は。会わなければ。ダンブルドアに」

クラウチ氏は喘ぎ手を伸ばしハリーのローブを強く握って引き寄せその目はハリーを通り越しあらぬ方向を見詰めながらこう言いました。ハリーは「いいですよ。立てますか。クラウチさん。一緒に行きます」と応えました。

「私は。馬鹿な事を。してしまった。どうしても。話す。ダンブルドアに」

クラウチ氏は低い声でこう言いました。一言一言言葉を発する事さえ苦しそうです。ハリーは大声ではっきりと「立ってくださいクラウチさん。立つんです。ダンブルドアの所へお連れします!」とクラウチ氏に訴えました。

「ありがとうウェーザビー。それが終わったら紅茶を一杯貰おうか。妻と息子がまもなくやって来るのでね。今夜はファッジご夫妻とコンサートに行くのだ」

暫くの間は会話が成立していたのですがクラウチ氏は唐突に元の状態に戻り再びこう木に向かって流暢に話し始めました。ハリーがそこにいる事など全く気づいていないようでした。そしてクラウチ氏はこう話したのでした。

「そうなんだよ。息子は最近O.W.L(ふくろう)試験で12科目もパスしてね。満足だよ。いやありがとう。いや全く鼻が高い。さてとアンドラの魔法大臣のメモを持って来てくれるかな。返事を書く時間ぐらいあるだろう」

ハリーはクラウチ氏を校長室に連れて行くのを諦めクラムに「君はこの人と一緒にここにいてくれ!」と言いました。ハリーはクラムに自分は校長室がどこにあるのかを知っているから自分が行くほうが早いと説明しました。

しかしハリーがダンブルドアを連れて戻って来るとクラムは地面に倒れていてクラウチ氏は忽然と姿を消していたというわけなんですよね。

3-3.その真相は?
ホグワーツの他の生徒たちも多分そうだったんでしょうがハリーを含めた4年生のグリフィンドール生が最初にマッド・アイ・ムーディから学んだのは「許されざる呪文」でした。この呪文は3種類あるというわけなんですよね。

「服従の呪文」に「磔の呪文」と「死の呪い」というわけです。その際ムーディは「服従の呪文」と戦う事はできると言いました。そして実際に生徒たちに「服従の呪文」をかけてハリーに抵抗力がある事が判ったのでした。

クィディッチ・ワールドカップの決勝戦の時クラウチ・ジュニアは父親のクラウチ氏がかけた「服従の呪文」を打ち破り「闇の印」を打ち上げました。今度はクラウチ氏がヴォルデモートに「服従の呪文」をかけられました。

当然の如く魔法力が極めて強いのでクラウチ・ジュニアがしたように父親のクラウチ氏もヴォルデモートのかけた「服従の呪文」に抵抗するようになりました。何が起きているのかクラウチ氏は時々気づくようになりました。

ヴォルデモートはクラウチ氏が家を出るのはもはや安全ではないと考えるようになりました。そこでヴォルデモートはクラウチ氏に魔法省への手紙を書かせ役所に行かせない。つまり欠勤させる事にしたというわけですよね。

そのためクラウチ氏は三校対抗試合の「第1の課題」には姿を見せたもののクリスマス・ダンスパーティには現れず代わりにパーシー・ウィーズリーが出席して「第2の課題」の審査員もまたパーシーが務めたというわけですね。

しかしワームテールが義務を怠り十分に警戒していなかったためクラウチ氏は逃げました。ヴォルデモートはクラウチ氏はホグワーツに向かったと判断しました。ヴォルデモートはクラウチ・ジュニアにそれを知らせました。

ヴォルデモートは何としても父親のクラウチ氏を止めろと言いました。そこでクラウチ・ジュニアは待機して見張っていました。その時クラウチ・ジュニアが利用したのがハリーから取り上げた「忍びの地図」だったのです。

ハリーは「忍びの地図」でクラウチ・ジュニアがスネイプの研究室でポリジュース薬の材料を盗むのを見つけました。クラウチ・ジュニアは父親と同じ名前なのでハリーは研究室に忍び込んだのはクラウチ氏だと思いました。

ついにある晩にそれは前述のように「第3の課題」のちょうど1ヵ月前でしたがクラウチ氏が校庭に入って来るのを「忍びの地図」が示しました。クラウチ・ジュニアは「透明マント」を被ってクラウチ氏に会いに行きました。

そこにハリーとクラムが現れたのです。クラウチ・ジュニアは待ちました。ヴォルデモートが必要としているのでハリーに怪我をさせるわけにはいかない。ハリーがいなくなった所でクラウチ・ジュニアはやっと動きました。

クラムに「失神の呪文」をかけ父親のクラウチ氏を殺害しました。父親の亡骸は「禁じられた森」に運び「透明マント」で隠しました。ダンブルドアにクラウチ氏を探せと言われクラウチ・ジュニアは亡骸の所に戻りました。

誰もいなくなった所でクラウチ・ジュニアは父親のクラウチ氏の亡骸を骨に変身させて「透明マント」を被るとハグリッドの小屋の前の掘り返されたばかりの場所に埋めたというわけなんですよね。これが真相だったのです。

最後に
父は自分を愛していなかった。しかし母つまり奥方を愛していた。その奥方が余命幾ばくもないから最期の願いを叶えて欲しいと言ったから父つまりクラウチ氏は自分をアズカバンから救い出す事にしたと息子は考えました。

「そうなんだよ。息子は最近O.W.L(ふくろう)試験で12科目もパスしてね。満足だよ。いやありがとう。いや全く鼻が高い」

しかしクラウチ氏は木に向かってこう話しかけていますよね。クラウチ・ジュニアはO.W.L(ふくろう)試験で12科目も合格するほど極めて優秀で自慢の息子でした。そんな息子が何と死喰い人と一緒に捕まってしまったのです。

クラウチ氏の息子に裏切られたという怒りは極めて峻烈だったと私は思います。だから息子をアズカバン送りにした。しかし奥方に息子は死喰い人ではないし無実だと説き伏せられてクラウチ氏は助け出す気になったのです。

つまりクラウチ氏は息子に二度に渡って裏切られたという事になりますよね。死喰い人たちと一緒に捕まった時とクィディッチ・ワールドカップの時に「闇の印」を打ち上げた時というわけです。そして最後は最悪でしたね。

クラウチ氏は息子に殺害されてその生涯を終え息子は吸魂鬼に魂を吸い取られて生きた屍になってしまいました。この親子もまたヴォルデモートに人生を大きく翻弄された犠牲者というわけなんですよね。気の毒の極みですね。
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