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ハリポタ通の館(やかた)

ここではハリーポッター・シリーズに関する様々な情報や私の推測(妄想?)をお届けしています。毎週、日曜・月曜・水曜・木曜更新。

大晦日が誕生日という事でここ数年12月はヴォルデモートを巻毎に取り上げるのが恒例になっています。首相にとってコーネリウス・ファッジの訪問はお世辞にも歓迎する事とは到底言い難い出来事でした。大概は悪い知らせを聞かされるのが落ちだからです。(全3項目)

3-1.憂鬱な首相
まもなく夜中の12時になろうとしていました。執務室に1人座り首相は長ったらしい文書に目を通していましたが内容はさっぱり頭に残らないまま素通りしていました。実は首相はさる遠国の元首からの電話を待っていました。

しかし一体いつになったら電話をよこすつもりなのかと訝ってみたりやたら長くて厄介だったこの1週間の不愉快な記憶の数々を頭の隅に追いやるのに精一杯だったために他にはほとんど何も頭に入って来なかったんですよね。

開いたページの活字に集中しようとすればするほど首相の目には政敵の1人がほくそ笑んでいる顔がありありと浮かんで来るのです。今日も今日とてこの政敵殿はニュースに登場しこの1週間の出来事をあげつらってくれました。

そればかりか政敵殿はこの1週間に起きた恐ろしい出来事をまるで傷口に塩を塗るかのようにどれもこれも政府のせいだとぶち上げてくださいました。何のかんのと非難された事を思い出すだけで首相の脈拍は早くなりました。

連中の言う事と来たらフェアじゃないし真実でもない。あの橋が落ちた事だってまさか政府がそれを阻止できたとでも言うつものなのか。政府が橋梁に十分な金をかけていないなどと言う奴の面が見たいと首相は思いました。

あの橋はまだ十年と経っていないし何故それが真っ二つに折れて十数台の車が下の深い川に落ちたのかは最高の専門家でさえ説明のしようがないのです。それに散々世間を騒がせたあの二件の残酷な殺人事件にしてもでした。

警官が足りないせいで起こったなどとよくも言えたものだ。一方西部地域に多大な人的そして物的被害を与えたあの異常気象のハリケーンだが政府が何とか予測ができたはずだって?その上にだったというわけなんですよね。

政務次官の1人であるハーバート・チョーリーがよりによってこの1週間かなり様子がおかしくなり「家族と一緒に過ごす時間を増やす」という体のいい理由をつけて辞職となった事までも首相である自分の責任だと言うのか。

「我が国はすっぽりと暗いムードに包まれている」と締めくくりながらあの政敵殿はにんまり顔を隠し切れないご様子だった。しかし残念ながらその言葉だけは紛れもない真実で人々はこれまでになく惨めな思いをしている。

首相自身もまたそう感じていました。天候までもが落ち込んでいました。7月半ばだというのにこの冷たい霧は変だ。どうもおかしい。

3-2.ファッジ大臣来訪
首相は文書の2ページ目をめくりましたがまだまだ先が長いと判るとやるだけ無駄だと諦めて両腕を上げて伸びをしながら憂鬱な気分で瀟洒な部屋を見回しました。上質の大理石の暖炉の反対側にある縦長の窓は閉じています。

しっかり閉じられているのは季節外れの寒さを締め出すためです。首相は身震いして立ち上がり窓際に近寄って窓ガラスを覆うように垂れ込めた薄い霧を眺めました。その時ちょうど首相の背後で軽い咳払いが聞こえました。

部屋に背を向けていた首相はその場に凍りつき目の前の暗い窓ガラスに映っている自分の怯えた顔を見詰めました。この咳払いは以前にも聞いた事がある。首相はゆっくり体の向きを変えがらんとした部屋に顔を向けました。

声だけは気丈に首相が「誰かね?」と呼びかけると答える者などいはしないというほんの一瞬首相が抱いた虚しい望みは雲散霧消してたちまち返事が来ました。まるで準備をした文章を棒読みしているようだったんですよね。

てきぱきと杓子定規な声が声の主は誰だと首相は最初の咳払いで判ってはいたのですが蛙顔の小男でした。長い銀色の鬘(かつら)を着けた姿で部屋の一番隅にある汚れた小さな油絵にその蛙顔の小男は描かれていたのでした。

「マグルの首相閣下。火急にお目にかかりたし。至急お返事のほどを。草々。ファッジ」

絵の主は答えを促すように見て首相は「あー」と生返事をした後に実は今は少し都合が悪い。さる国の元首からの電話を待っている所だと言葉を濁し途切れがちにしてまた「えー」と生返事を挟みつつ答えたというわけです。

すると絵が「その件は変更可能」と即座に答えて首相はがっかりしました。そうなるのではと恐れていたからです。首相が「しかしできれば私としては電話で話を」と言うと小男は首相に向かってこう言ったというわけです。

「その元首が電話するのを忘れるように我々が取り計らう。その代わりその元首は明日の夜電話するであろう。至急ファッジ殿にお返事を」

首相は「私としては。いや。いいでしょう」と力なく再び言葉を途切れがちにして応えた後に「ファッジ大臣にお目にかかりましょう」と言いました。それから首相はネクタイを直しながら急いで机に戻ったというわけです。

椅子に座り泰然自若とした表情を何とか取り繕ったその途端に大理石のマントルピースの中で薪もない空の火格子に突然明るい緑色の炎が燃え上がりました。首相は驚きうろたえた素振りなど微塵も見せまいと気負いました。

そして小太りの男が独楽(こま)のように回転して炎の中に現れるのを見詰めました。まもなく男はライムグリーンの山高帽子を手に縦縞の長いマントの袖の灰を払い落しながら相当に高級な年代物の敷物の上に這い出ました。

「おお。首相閣下。またお目にかかれてうれしいですな」

コーネリウス・ファッジがこう言いながら片手を差し出し大股で進み出て来たというわけなんですよね。しかしだったのです。

3-3.決して歓迎できない訪問
同じ挨拶を返す気持ちにはなれず首相は何も言いませんでした。ファッジに会えてうれしいなどとはお世辞にも言えなかったからです。時々こうしてファッジが現れる事だけでも度肝を抜かれるのにそれだけではありません。

大概悪い知らせを聞かされるのが落ちなのです。ファッジは目に見えて憔悴していました。やつれてますます禿げ上がり白髪も増えてげっそりとした表情でした。首相は政治家がこんな表情をしているのを以前にも見ました。

決して吉兆ではありません。首相は「何か御用ですかな?」と言うとそそくさとファッジと握手して机の前にある一番硬い椅子を勧めました。ファッジは椅子を引き寄せて座り山高帽子を膝の上に置きながらこう言いました。

「いやはや何からお話ししてよいやら。いやはや先週と来たらいや全く」

首相はつっけんどんに「あなたのほうもそうだったわけですな?」と言いました。これ以上ファッジから何かを聞かせていただくまでもなく既に当方は手一杯なのだという事がこれで伝われば良いのだがと首相は思いました。

「ええそういう事です。首相閣下。私のほうもあなたと同じ1週間でしたよ。ブロックデール橋。ボーンズとバンスの殺人事件。言うまでもなく西部地域の惨事」

ファッジは疲れた様子で両目をこすり陰気臭い目つきで首相を見ながらこう言ったというわけです。これに対して首相はファッジに向かって再び言葉を濁して途切れがちにしながらこのように言ったというわけなんですよね。

「すると-あー-そちらの何が-つまりファッジ大臣の部下の方たちが何人か-関わって-そういう事件に関わっていたという事で?」

ファッジはかなり厳しい目つきで首相を見据えて「もちろん関わっていましたとも。閣下は当然何が起こっているかにお気づきだったでしょうな?」と言いました。そう言われて首相は「私は」と口ごもったというわけです。

こういう態度を取られるからこそ首相はファッジの訪問が嫌なのです。痩せても枯れても自分は首相だ。何も知らないガキみたいな気持ちにさせられるのは面白くないというわけなんですよね。

今日の最後に
マグルの首相閣下も魔法界の大臣のコーネリウス・ファッジも憂鬱。何でもこの1週間の内に10年と経っていないブロックデール橋が真っ二つに折れて十数台の車が下の深い川に落ちたり二件の殺人事件が起きたんだそうです。

さらに西部地域では多大な人的そして物的被害を与えた異常気象のハリケーンが発生して首相の政敵殿はニュースに登場してこれらの恐ろしい出来事をどれもこれもが政府のせいだとぶち上げてくださったとの事だそうです。

その上に政務次官の1人のハーバート・チョーリーが相当に様子がおかしくなり「家族と一緒に過ごす時間を増やす」という体のいい理由をつけて辞職してしまったのだそうです。それも首相の責任と政敵殿は言ったそうです。

ところが実はこの1週間の間に起きたこれらの恐ろしい出来事にはヴォルデモートが関与していたというわけです。つまりマグルの首相はどうする事もできない。増してや決して首相の責任などではないというわけなんですよね。

そうなんだという事をファッジ大臣はマグルの首相に伝えに来たんですよね。

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