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「僕はおまえの命を救ったのに?ピーター・ペティグリュー、君は僕に借りがある!」ついにワームテールがハリーに借りを返す時がやって来ました。しかし!こんな「返し方」ってありなの?一方屋敷しもべ妖精のドビーの大活躍で3人は脱出を果たしたものの・・・衝撃と怒涛の23章!(全3項目)

3-1.ドビー!
名付け親の形見の鏡の破片がキラキラと床に落ちました。そしてハリーは鏡の中に明るいブルーの輝きを見ました。そこにはダンブルドアの目がハリーを見つめていたのでした。ハリーは鏡に向かって必死に叫びました。

「助けて!僕たちはマルフォイの館の地下牢にいます。助けて!」

その目が瞬いて消えました。

ハリーには本当にそこに目があったかどうか?の確信もありませんでした。破片の角度を変えてみても映るものと云ったら牢獄の壁や天井ばかりでした。上からはベラトリックスの叫ぶ声が聞こえていました。

「どうやって私の金庫に入った?」

ベラトリックスの「この問い」にハーマイオニーは啜り泣きながら「あなたの金庫になんか入ったことはないわ」と答えました。そして剣は本物ではなく模造品だと・・・それに瞬時に反応したのがルシウスでした。

小鬼なら「この剣」が本物か?偽物か?はすぐに判ると言ってルシウスはドラコに地下牢にいる小鬼を連れて来るよう命じました。ハリーはグリップフックの所に飛んで行って小鬼の尖った耳に囁いたのでした。

「あの剣が偽物だって言ってくれ。やつらに、あれが本物だと知られてはならないんだ。グリップフック、お願いだ」

「おかしなまねをしたら殺すぞ!」の脅し文句の後にドラコが青白い決然とした顔で地下牢に入って来ました。そしてグリップフックの腕をつかむと小鬼を引きずって連れ出して行きました。

そして扉が閉まると同時に「バチン!」という大きな音が地下牢内に響きました。ロンが「灯消しライター」をカチッと鳴らして3つの光の玉が照らし出したのは!絶妙のタイミングで「姿現し」したのは?

ドビーでした!

3-2.ピーター・ペティグリューの借り
ドビーはテニスボールのような巨大な眼を見開いて足の先から耳の先まで震えていました。昔のご主人様の館に戻ったドビーは明らかに恐怖ですくみ上がっていました。蚊の鳴くようなキーキー声も震えていました。

「ハリー・ポッター」
「ドビーはお助けに参りました」

どうやって?ここに来たのか?聞きたい気持ちは山々でしたが上からは再びハーマイオニーが拷問を受けている声が聞こえて来たのでハリーは大事な話だけに絞ることにしたのでした。

ドビーに「この地下牢」からヒトと一緒に「姿くらまし」できることを確認した後ハリーはルーナとディーンとオリバンダーさんをつかんで、それで3人を・・・3人を・・・

言いよどんでいるとロンが次の言葉を繋いで言いました。ビルとフラーの新居ティンワース郊外の「貝殻の家」に連れて行くようにとロンがドビーに言ったのでした。

ルーナとディーンは残ってハリーを助けたい!と言いましたがハリーは2人に「行ってくれ!」と懇願しました。僕たちはあとで行く!だからとにかく行ってくれ!と・・・

2人はドビーが伸ばしている指をつかみました。再び「バチン!」と大きな音がしてドビー、ルーナ、ディーン、オリバンダーは消えました。すると頭上からはルシウス・マルフォイの叫ぶ声が聞こえて来たのでした。

「あの音は何だ?」
「聞こえたか?地下牢のあの物音は何だ?」

今度はルシウスはドラコではなくワームテールを呼んで地下牢を調べさせるようにと指示を出しました。ハリーはロンに「2人で奴を組み伏せるしかないな」と囁いて2人は扉の左右の壁に張りついたのでした。

扉が開いた次の瞬間ハリーとロンがワームテールに飛びかかりました。ロンはワームテールの杖腕を押さえて捩(ね)じり上げハリーはワームテールの口を塞いで声を封じました。

上からルシウスが「どうかしたか?」と呼びかけましたがロンがワームテールのゼィゼィ声を何とか真似て答えました。ハリーはワームテールの銀の手に喉元を絞められてほとんど息ができませんでした。

「僕を殺すつもりか?」

「僕はおまえの命を救ったのに?ピーター・ペティグリュー、君は僕に借りがある!」

銀の指が緩みました。ハリーも驚きましたがペティグリューもまたハリーと同じくらい衝撃を受けているようでした。わずかに衝動的な憐れみを感じたことを自分の手が告白してしまったことに・・・

「さあ、それはいただこう」

ロンが小声でそう言いながらペティグリューの左手から杖を奪いました。杖も持たずしかも自分1人だけ!ペティグリューの瞳孔は恐怖で広がっていました。その視線が今度はハリーの顔から何か別のものへと移って行きました。

ペティグリュー自身の銀の手が情け容赦なくペティグリュー本人の喉元へと動いて行ったのです。あまりのことにハリーは何も考えられずに銀の手を引き戻そうとしました。しかし止められませんでした。

ヴォルデモート卿が一番臆病な召使いに与えた銀の道具は武装解除されて役立たずになった持ち主に矛先を向けたのです。ペティグリューは一瞬の躊躇、一瞬の憐憫の報いを受けたのでした。

2人の目の前でペティグリューは絞め殺されていったのでした。

3-3.この場面でのダンブルドア
●ピーター・ペティグリュー
当サイトと云うか?私の中ではあまりにも旧聞に属する事柄なので「いまさら」という気もするんですけど一応念のために振り返っておこうと思います。

第3巻「アズカバンの囚人」558ページ(携帯版627ページ)でダンブルドアはハリーに自分を信じるがよいと、いつか必ずペティグリューの命を助けてよかったと思う日が来るだろうと言っていますね。

私はワームテールが犯した大罪についてはヴォルデモート卿を復活させたというのも当然そうなんですが、何と言ってもポッター夫妻を死に追いやったというのが最大級のものだったと思いますね。

だからこんな悲惨な最期を迎えなくてならなかったのだと私は思います。

●ヴォルデモートはいなかった!
ハリーたち3人がフェンリール・グレバック率いる人さらい一味に捕えられてマルフォイの館に連れてこられた時にはヴォルデモートは「そこ」にはいませんでした。

つまり!こうしてダンブルドアの策にハマって「ニワトコの杖」を探している内にまたしてもハリーを取り逃がしてしまったというわけなんですよね。(笑)

●ドビー
最初の内はハリーのことを心配する気持ちが強過ぎるが故に、むしろハリーに迷惑をかけてばかりいたドビーだったのですが今改めて振り返ってみると・・・

三大魔法学校対抗試合の第2の課題の時にはハリーはドビーのお陰で課題をクリアすることができましたし、5年生の時には「必要の部屋」の存在を教えてくれたり・・・

6年生の時にはドラコ・マルフォイを1週間寝ずに尾行したりと・・・

今にして思えばダンブルドアに雇われてホグワーツで働くようになってからは迷惑をかけなくなったのはもちろんのことハリーにとって「かけがえのない存在」になったというわけです。

そして今回の大活躍も前にも増して素晴らしかったです。マルフォイの館の客間のシャンデリアを凪ぎ落とし絶体絶命のピンチのハリーたち3人を救ってくれたのでした。が!しかし・・・

本日の最後に
「ドビー、これが『貝殻の家』なの?」

「僕たち、正しい場所に着いたの?ドビー?」

ハリーはあたりを見回しました。ドビーはハリーのすぐそばに立っていました。ドビーがぐらりと傾きました。そしてハリーはドビーの激しく波打つ胸から突き出ている銀の小刀の柄を見つけたのでした。

「ドビー―ああっ―誰か!」

「助けて!」

ハリーは近くで動いている人影が魔法使いか?マグルか?敵か?味方か?分からなかったし、そんなことはどうでもいいことでした。ドビーの胸に広がって行く黒い染みのことしか考えられませんでした。

ハリーに向かってすがりつくように伸ばされたドビーの細い両腕しか見えませんでした。ハリーはドビーを抱き止めて、ひんやりした草に横たえました。

「ドビー、ダメだ。死んじゃダメだ。死なないで」

ドビーの眼がハリーをとらえ、何か物言いたげに唇を震わせました。そして小さく身を震わせドビーは動かなくなりました。ドビーが最後に口にしたのはドビーがこの世で一番好きな人の名前でした。

「ハリー・・・ポッター・・・」

本日の記事で取り上げたのは・・・
第7巻「死の秘宝」より第23章「マルフォイの館」でした。
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