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ハリーにとってはシリウスを裏切った「この生き物」に対して責任を持つなど嫌悪の極みだったのですが・・まさか!「こんな日」が来るなんて!ハリーもまた全く予想していなかったのでした。(全3項目)

3-1.シリウスの死を受けて
ダンブルドアがプリベット通り4番地にハリーを迎えに来たのは夏休みに入って2週間後の金曜日の夜のことでした。ダーズリー一家に自己紹介を済ませた後ダンブルドアが居間に入ろうとするのでハリーは少し驚いたのでした。

「あの―先生、出かけるんじゃありませんか?」

ハリーの問いにダンブルドアは確かに出かけるのだが出かける前に幾つか話し合っておかなければならないことがあるので少しの時間ハリーの叔父さんと叔母さんの好意に甘えさせていただくことにしたと答えたのでした。

そして「この場」でダンブルドアはシリウスの遺言が1週間前に見つかり所有物の全てがハリーに遺されたことを告げたのでした。何でもグリンゴッツのハリーの口座に「ほどほどの金貨」が増えたのだそうです。

まあ金貨は「あり過ぎて困る」というコトはないのでいいのですがシリウスが遺した私有財産には少々(かなり?)厄介なモノも含まれていたのです。それは何かというと?

「クリーチャーはしない、クリーチャーはしない、クリーチャーはそうしない!」

クリーチャーは例の「しわがれ声」で節くれだった長い足で地団駄を踏みながら自分は新しい女主人様(ベラトリックス・レストレンジ)がいいのだからポッター小僧になど仕えないと駄々をこねていたのでした。

「しない、しない、しない、しない」

ハリーもまたシリウスを裏切った「こんな生き物」などに責任を持つなど考えるだけで厭わしかったのですが、クリーチャーがこの1年不死鳥の騎士団の本部で暮らしていたことを考えると放り出すわけにもいきません。

「しない、しない、しない、しない」

ダンブルドアはハリーに言ったのでした。もしクリーチャーがハリーの所有に移っているのならクリーチャーはハリーの命令に従わなくてはなりません。だから命令してみろと・・・

「しない、しない、しない、しないぞ!」

クリーチャーの声が高くなって叫び声になりました。ハリーは他に何も思いつかないまま「クリーチャー黙れ!」と言ったのでした。するとクリーチャーは?

一瞬クリーチャーは窒息するかのように見えたのでした。喉を押さえて死に物狂いで口をパクパクさせ両眼が飛び出していました。数秒間は必死で息を呑み込んでいましたが・・・

やがてクリーチャーはうつ伏せにカーペットに身を投げ出し両手両足で床を叩きながらも「その一方」では完全に無言で癇癪を爆発させていたのでした。ハリーの命令に従ったのです。

こうしてハリーはめでたく(?)クリーチャーの正当な所有者となりクリーチャーはダンブルドアの措置と提案で取りあえずはホグワーツの厨房で働くことになったのでした。

3-2.お互いにこんなに嫌っていたのに・・・
そんなわけで「相思相愛」とは全く逆の関係で互いに激しく嫌い合っていたハリーとクリーチャーだったのですが、ハリーがヴォルデモートの分霊箱を探す旅に出た直後に「その関係」が劇的に変化することになったんですよね。

ハリーたち3人がグリモールド・プレイス12番地に入って一夜明けた翌朝のことでした。ハリーが名付け親シリウスの部屋に入ったことがキッカケになって「R.A.B」が誰なのか?が判明したのです。

レギュラス・アークタルス・ブラック

Regulus Arcturus Black

ハーマイオニーが2年前の夏休みに本部の大掃除をしていた時に開かないロケットがあったことを思い出したのです。3人でレギュラスの部屋とクリーチャーの寝床を洗いざらい探しましたがロケットは見つかりませんでした。

「まだ終わっちゃいない」「クリーチャー!」

バチンと大きな音がしてクリーチャーが現れました。ハリーを見る軽蔑した目が持ち主がシリウスからハリーに変わってもご主人様に対する態度が全く変化していないことを示していました。

クリーチャーはハリーの顔を見ようともせず深々とお辞儀をした後は自分の膝に向かってブツブツ言ったのでした。激しく心臓が鼓動するのを感じながらハリーはクリーチャーに質問したのでした。

ところがハリーが2年前に僕たちが捨てたロケットをお前は回収したのか?と質問するとクリーチャーは一瞬の沈黙の間に背筋を伸ばしハリーを直視したのでした。そして「はい」と答えたのです。

ハリーは小躍りしてクリーチャーに「それは今どこにある?」と訊いたのでした。ロンとハーマイオニーは大喜びでした。ところがクリーチャーは「この後」意外な行動に打って出たのでした。

クリーチャーは身震いし体を揺らし始めました。そして息を吸おうと喘(あえ)ぎ胸が激しく上下したのでした。やがて両眼をカッ!と見開くとクリーチャーは血も凍るような叫び声を上げたのでした。

「それにロケットも!レギュラス様のロケットも!クリーチャーめは過ちを犯しました!クリーチャーはご主人様の命令を果たせませんでした!」

ハリーは本能的に動きました。火格子のそばの火掻き棒に飛びつこうとするクリーチャーに飛びかかり床に押さえつけたのです。ハーマイオニーも悲鳴を上げましたがハリーの怒鳴り声のほうがそれを勝ったのです。

「クリーチャー、命令だ。動くな!」

この後クリーチャーの口から驚愕の事実が語られることになったのでした。ヴォルデモートが『あの洞窟』に分霊箱を隠す時クリーチャーは何と!ヴォルデモートに同行して一緒に洞窟に行っていたのです。

だからレギュラスと再び洞窟に行った時にも地の底の洞窟への隠された入口の開け方も知っていましたし小舟の引き揚げ方も知っていたのです。そして本物の分霊箱スリザリンのロケットを持ち帰っていたのも・・・

クリーチャーだったのです。

3-3.ホグワーツの戦いでは
真相を知ってクリーチャーに対する思いを新たにしたハリーはハグリッドから貰った巾着から「例の」偽の分霊箱を取り出したのでした。レギュラスがヴォルデモートへのメモを入れた「あの」ロケットです。

「クリーチャー、君にこれを受け取ってほしいんだ」

ロンが「ちょっとやりすぎだぜ」と言ったのでした。確かにそうかもしれませんでした。クリーチャーはロケットを一目見るなり衝撃と悲しみで大声を上げ床に突っ伏したのでした。

ブラック家の家宝を自分のものとして贈られ感激に打ちのめされたクリーチャーは完全に膝が抜けてしまい暫くの間は立ち上がることができないほどでした。

そしてホグワーツの戦いではホグワーツの屋敷しもべ妖精たちの先頭に立ち、胸にはそのレギュラス・ブラックのロケットを躍らせながら喧騒の中でもハッキリ聞こえるほどの声を張り上げて戦闘に加わったのでした。

「戦え!戦え!我がご主人様、しもべ妖精の擁護者のために!闇の帝王と戦え!勇敢なるレギュラス様の名の下に戦え!戦え!」

クリーチャーに励まされてホグワーツの屋敷しもべ妖精たちは敵意をみなぎらせた小さな顔を生き生きと輝かせて死喰い人たちに襲いかかったのでした。

最後に
こうして戦いが終わってダンブルドアへの報告も済ませ肖像画から顔を逸らしたハリーが頭に思い浮かべたことはグリフィンドール塔で待っている四本柱のベッドと・・・

そこにクリーチャーがサンドイッチを持って来てくれないかな?

ということだったのでした。
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