ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(7)(28回シリーズ)

リトル・ウィンジングに吸魂鬼が現れるという緊急事態を受けてフィッグばあさんが駆けつけて来てハリーは初めてフィッグばあさんがスクイブの魔女という事や「バシッ」という音の主がマンダンガス・フレッチャーだと知りました。そして4番地に戻って来たのですが・・・(全3項目)

3-1.戸口まで送るよ
「俺は。その。あの」こう言いながらマンダンガス・フレッチャーは身の置き場がないような様子でした。しかし何せいい商売のチャンスだったもんでと遠慮がちながらもそう言うのも忘れていなかったというわけなんですよね。

そんなマンダンガスにフィッグばあさんは手提げ袋を抱えたほうの腕を振り上げ顔と首のあたりを張り飛ばしました。ガシャという音が聞こえて来たので手提げ袋の中身はどうもキャット・フードの缶詰のようだったんですよね。

「痛え。やーめろ。やーめろ。このくそ婆あ!誰かダンブルドアに知らせねえと!」

フィッグばあさんは缶詰入りの手提げ袋をぶん回してどこもかしこもお構いなしに打ちながらマンダンガスに向かってこう言ったのでした。きっとフィッグばあさんのマンダンガスに対する怒りは頂点に達していたんでしょうね。

「その。通り。だわい!それに。お前が。知らせに。行け。そして。自分で。ダンブルドアに。言うんだ。どうして。お前が。その場に。いなかったのかって!」

マンダンガスは身をすくめて腕で顔を覆いながら「とさかを立てるなって!行くから。俺が行くからよう!」と言ったかと思うとまたも「バシッ」という音と共に姿を消しました。するとフィッグばあさんはこう言ったのでした。

「ダンブルドアがあいつを死刑にすりゃいいんだ!」

フィッグばあさんは怒り狂っていました。そしてハリーにも「さあハリー早く。何をぐずぐずしてるんだい?」と言ってハリーをも急き立てたというわけです。ハリーは大荷物のダドリーのお陰で歩くのがやっとだったのでした。

本当はそうだと言いたかったのですが既に息絶え絶えだったので息の無駄使いはこれ以上しない事にしました。半死半生のダドリーを抱えてハリーはよろよろと前進しました。そんなハリーにフィッグばあさんはこう言いました。

「戸口まで送るよ。連中がまだその辺にいるかもしれん。ああ全く何てひどいこった。そいでお前さんは自分で奴らを撃退しなきゃならなかった」

フィッグばあさんは「そいでダンブルドアはどんな事があってもお前さんに魔法を使わせるなってあたしらにお言いつけなすった。まあこぼれた魔法薬盆に帰らずってとこか。しかし猫の尾を踏んじまったね」とも言いました。

それを聞いてハリーは?

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(6)(28回シリーズ)

吸魂鬼を追い払って事を解決したハリーの元にフィッグばあさんが姿を現わしました。ところがハリーが急いで杖を隠そうとすると何とフィッグばあさんは「そいつをしまうんじゃない」とそう言うのです。さらに驚くべき事にフィッグばあさんは吸魂鬼の事を知っていたのでした。(全3項目)

3-1.不意を衝かれて
フィッグばあさんに杖をしまうんじゃないと言われてハリーは驚きのあまり「えっ?」と言って呆然としてしまいました。フィッグばあさんは手を揉みながらひとしきりマンダンガス・フレッチャーの文句をまくしたてました。

何でもちょろまかした大鍋がまとまった数あるという事で誰かに会いに行ってしまったんだそうです。そんな事をしたら生皮を剥いでやると言ったのに言わんこっちゃない!折り悪く吸魂鬼が現れてしまったというわけですよね。

ミスター・チブルスを見張りにつけておいたのが幸いだったのだそうです。さあハリーを家に帰してやらなければ。ああ大変な事になった。こう言うとフィッグばあさんは再びマンダンガス・フレッチャーを始末すると言いました。

路地で吸魂鬼に出会った事もショックでしたがハリーにとっては変人で猫狂いの近所に住むフィッグばあさんが吸魂鬼の事を知っていたというのも同じくらいショックでした。そこてハリーはフィッグばあさんにこう訊きました。

「おばあさんが。あなたが魔女?」

するとフィッグばあさんからは自分は出来損ないのスクイブだという答えが返って来ました。マンダンガス・フレッチャーはそれをよく知っている。だからハリーが吸魂鬼を撃退するのを助けられるはずはないとの事だそうです。

あいつに忠告したのにハリーに何の護衛もつけずに置き去りにした。フィッグばあさんにそう言われてハリーは判ったのです。先程の「バシッ」という音はマンダンガス・フレッチャーが「姿くらまし」した音だったんですよね。

「そのマンダンガスが僕をつけてたの?ちょっと待って。あれは彼だったのか!マンダンガスが僕の家の前から姿くらまししたんだ!」

ハリーがこう言うとフィッグばあさんは「そうそうそうさ。でも幸い私が万が一を考えてミスター・チブルスを車の下に配置しといたのさ」と応えました。そのミスター・チブルスが危ないと知らせて来たとの事なんだそうです。

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(5)(28回シリーズ)

ダドリーに呪いをかけてやりたい!そう思っていたハリーだったのですがハリーのそんな憎しみの思いなど吹き飛ぶような出来事が起きてしまいました。ここリトル・ウィンジングに現れるはずのないおぞましい生き物がハリーとダドリーに襲いかかって来たのでした。(全3項目)

3-1.あの音が聞こえて来た!
ハリーは何か見える物はないかと思ってあっちこっちに首を回しました。しかし暗闇はまるで無重力のベールのようにハリーの目を塞いでいました。すると恐怖に駆られたダドリーの声がハリーの耳に飛び込んで来たのでした。

「な、何をするつもりだ?や、辞めろ!」
「僕は何もしていないぞ!黙っていろ。動くな!」
「み、見えない!僕。め、目が見えなくなった!僕」
「黙ってろって言ったろう!」

ハリーは見えない目を左右に走らせ身じろぎもせずに立っていました。激しい冷気で体中が震え腕には鳥肌が立ち首の後ろの髪は逆立っていました。ハリーはできるだけ大きく目を開け周囲に目を凝らしましたが何も見えません。

そんな事は不可能だ。あいつらがまさかここリトル・ウィンジングにいるはずなどない。そう思いながらもハリーは耳をそばだてました。あいつらなら目に見えるよりも先に音が聞こえるはずだとハリーはそう思ったからでした。

「パパにい、言いつけてやる!ど、どこにいるんだ?な、何をして?」

こうヒステリックに喚き立てるダドリーに向かってハリーは歯を食い縛ったまま「黙っててくれないか?聞こうとしているんだから」と訴えました。そして突然沈黙しました。まさにハリーが恐れていたあの音を聞いたからです。

「や、辞めろ!こんなこと辞めろ!殴るぞ!本気だ!」

こう喚き散らすダドリーにハリーは「黙れ!」と言おうとしました。しかしダドリーの拳がハリーの側頭に命中しハリーは吹き飛びました。次の瞬間ハリーは地面に打ちつけられ杖が手から飛び出してしまう事になったのでした。

「ダドリーの大馬鹿!」

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(4)(28回シリーズ)

ハリーが公園のブランコに座って物思いに耽っているとダドリー軍団がやって来るのが目に入りました。ハリーはダドリーと並んでプリベット通り4番地への帰路につきました。ところがそこで事は起こりました。一瞬ハリーは必死で我慢していたのに魔法を使ってしまったと思ったのですが・・・(全3項目)

3-1.家に帰る途中で
「かっこいい名前だ」こう言った後ハリーはダドリーに続けて「だけど僕にとっちゃ君はいつまで経ってもちっちゃなダドリー坊やだな」と言いました。するとダドリーは両手を丸めて拳を握るとこう言ったというわけですよね。

「黙れって言ってるんだ!」

そんな怒るダドリーにハリーは追い打ちをかけるように「あの連中はママが君をそう呼んでいるのを知らないのか?」と訊きました。さらに怒りを煽られたダドリーは再び「黙れよ」と言いました。ハリーは次にこう言いました。

「ママにも黙れって言えるかい?かわい子ちゃんとかダディちゃんなんてのはどうだい?じゃあ僕もそう呼んでいいかい?」

今度はダドリーは「黙れ」とは言わず黙っていました。ハリーを殴りたいのを我慢するのに自制心を総動員しているようでした。するとハリーは表情を変え笑うのを止めてダドリーに向かってこう言ったというわけなんですよね。

「それで今夜は誰を殴ったんだい?また10才の子か?一昨日の晩マーク・エバンズを殴ったのは知ってるぞ」

するとダドリーは唸るように「あいつがそうさせたんだ」と言いました。ハリーが「へーそうかい?」と言うと「生言いやがった」と応えました。それに対してハリーはこう言って更なる挑発に打って出て来たというわけです。

「そうかな?君が後ろ足で歩く事を覚えた豚みたいだとか言ったかい?そりゃダッド生意気じゃないな。本当だもの」

ハリーにこう言われてダドリーの顎の筋肉が痙攣しました。ダドリーをそれだけ怒らせたかと思うとハリーは大いに満足でした。思い通りにならない鬱憤を唯一の捌け口のダドリーに注ぎ込んでいるようなそんな気がしました。

ハリーとダドリーは角を曲がり狭い路地に入りました。そこはかつてハリーがシリウスを見かけた場所でマグノリア・クレセント通りからウィステリア・ウォークへの近道になっていました。そこには街灯がありませんでした。

そのため路地の両端に伸びる道よりずっと暗くなっていました。路地の片側はガレージの壁でもう片側は高い塀になっていてその狭間に足音が吸い込まれて行きました。一呼吸置いてダドリーがハリーにこう言って来たのでした。

「あれを持ってるから自分は偉いと思っているんだろう?」

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(3)(28回シリーズ)

7時のテレビニュースが終わってからダーズリー夫妻と押し問答をしていたハリーでしたがそれを途中で打ち切るとハリーはプリベット通り4番地を出てぶらぶら歩き始めました。そして公園で物思いに耽っているとそこにダドリー軍団が歩いて来るのが見えて来て・・・(全3項目)

3-1.ぶらぶら歩いて公園へ
ハリーは角を曲がりマグノリア・クレセント通りの小道に向かいました。ハリーが物心ついて初めて名付け親のシリウスと会ったのはそのガレージの所でした。少なくともシリウスだけはハリーの気持ちを理解しているようです。

「君はきっとイライラしている事だろう。おとなしくしていなさい。そうすれば全て大丈夫だ。気をつけるんだ。無茶するなよ」

もちろんこのようにシリウスの手紙にもロンとハーマイオニーのと同じくちゃんとしたニュースは何も書かれてはいません。しかし思わせぶりなヒントではなく少なくとも警戒しろとか慰めの言葉が綴られているというわけです。

マグノリア・クレセント通りを横切ってマグノリア通りへと曲がり暗闇の迫る公園へと向かいながらハリーは「そうだなあ」と思いました。夏休みに入ってからハリーはこれまでは大抵はシリウスの忠告通りに振舞って来ました。

少なくとも箒にトランクを括りつけて自分勝手に「隠れ穴」に出かけたいなどという誘惑に負ける事はありませんでした。1ヵ月以上もプリベット通りに釘づけにされて花壇に隠れるような真似までしてこんなにも苛立っている。

それもヴォルデモートの動きの手がかりを掴みたい一心なのです。それなのに自分の態度は実際上出来だとハリーは思いました。しかしそもそもシリウスに「無茶するなよ」と諭されるなんて全く理不尽だとハリーは思いました。

何せシリウスは魔法使いの監獄のアズカバンに12年間も入れられた挙句にそもそも投獄されるきっかけになった未遂の殺人をやり遂げようとして加えて盗んだヒッポグリフに乗って再び逃亡したという経歴の持ち主なんですよね。

ハリーは鍵の掛かった公園の入口を飛び越え乾き切った芝生を歩き始めました。周囲の通りと同様にこの公園にも人の気配はありません。ハリーはブランコに近づきダドリー一味が唯一壊さなかったブランコに腰掛けたのでした。

そしてぼんやりと地面を見詰めながら「明日からはどうやってテレビのニュースを聞こうか?」と考えに耽ったのでした。バーノン叔父さんに見つかってしまったので花壇に隠れて聞くという方法はもはや通用しないんですよね。

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