魔法省への潜入計画を明日決行するとハリーが唐突に言い出してちょっとした議論になりましたがその話し合いの最中にハリーの額の傷痕が痛んでハリーはバスルームに駆け込む事を余儀なくされました。そこにやって来たロンにハーマイオニーとの間でまた別の議論になったのでした。(全3項目)

3-1.計画を実行すると決まって
ハリーの決断で計画を明日実行する事になりロンが「よーし」とゆっくり言った後「例えば明日決行するとして僕とハリーだけが行くべきだと思う」と提案するとハーマイオニーが溜め息をつきながらこう反論したのでした。

「まあまたそんな事を!その事はもう話がついていると思ったのに」

しかしロンは「透明マント」に隠れて魔法省の入口の周りをうろつく事と今回の計画とは違うと言うのです。そして10日前の古新聞に指を突きつけるとこう言ってハーマイオニーが行く事を反対したというわけなんですよね。

「君は尋問に出頭しなかったマグル生まれのリストに入っている!」

するとハーマイオニーはそれを言うならとばかりにロンは黒斑病のせいで「隠れ穴」で死にかけているはずだと言い返しました。誰か行かないほうがいい人がいるとすればそれはハリーだとハーマイオニーはそう言うのです。

何とハリーの首には一万ガリオンの懸賞金が懸っているからだそうです。そこでハリーは「いいよ。僕はここに残る。万が一君たちがヴォルデモートをやっつけたら知らせてくれる?」とジョークを飛ばして見せたのでした。

それを聞きロンとハーマイオニーは笑い出しましたが同時にハリーの額の傷痕に痛みが走りました。ハリーの手は瞬時に額に飛びましたがハーマイオニーが疑わしげに目を細めたので髪の毛を払う仕種をして誤魔化しました。

「さてと3人とも行くんだったら別々に姿くらまししないといけないだろうな。もう3人一緒に透明マントに入るのは無理だ」

ロンは3人で行くのならと今度はこう提案をしましたが傷痕はますます痛くなって来ました。ハリーは立ち上がりました。するとクリーチャーがすぐさまハリーに駆け寄って来たかと思うとハリーにこう言って来たんですよね。

「ご主人様はスープを残されましたね。お食事においしいシチューなどはいかがでしょうか。それともデザートにご主人様の大好物の糖蜜タルトをお出しいたしましょうか?」

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何とアルバス・ダンブルドアを殺害した「あの」セブルス・スネイプがホグワーツの校長職に就いたという事でロンもハーマイオニーも到底受け入れられないという事だったのですがハリーが唐突に告げた決断内容に2人とも驚きを隠せませんでした。ハリーがしたその決断とは?(全3項目)

3-1.ハーマイオニーが持って来たのは?
厨房に戻って来たハーマイオニーは息を切らしながら「これを持って来たの」と言うと持って来た大きな額入りの絵を床に下して食器棚にあったビーズ・バッグを取って中に押し込めるとハリーとロンにこう告げたのでした。

「フィニアス・ナイジェラスよ」

小さなバッグなのですが「検知不可能拡大呪文」という魔法がかけられているので他の色々な物と同様に額は瞬時にバッグの広大な懐へと消えて行きました。ロンは「えっ?」と訊き返しましたがハリーには判ったのでした。

フィニアス・ナイジェラス・ブラックはグリモールド・プレイス12番地とホグワーツの校長室に掛かっている2つの肖像画の間を行き来できます。今頃スネイプはあの塔の上階の円形の部屋に勝ち誇って座っているに違いない。

ダンブルドアの集めた繊細な銀の計器類や「憂いの篩」に「組み分け帽子」と移動されてなければ「グリフィンドールの剣」を我が物顔に所有しているのだろうとハリーは思いましたがハーマイオニーはこう言ったのでした。

「スネイプはフィニアス・ナイジェラスをこの屋敷に送り込んで偵察させる事ができるわ。でも今そんな事をさせてご覧なさい。フィニアス・ナイジェラスには私のハンドバックの中しか見えないわ」

自分の椅子に戻りながらハーマイオニーはロンにこう解説しました。ロンは「あったまいい!」と言って感心した顔を見せました。ハーマイオニーはスープ皿を引き寄せながら「ありがとう」と礼を言うとにっこりしました。

「それでハリー今日は他にどんな事があったの?」

するとハーマイオニーは今度はこう言ったのでした。

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時は流れて9月1日となりハリーは失敬して来た「日刊予言者新聞」を持って12番地に帰って来ました。そこには普段より多い6人の死喰い人が見張っていました。その新聞にはロンとハーマイオニーが大声で「まさか!」と言わしめる驚きの記事が掲載されていました。(全3項目)

3-1.時は流れて9月となり
8月も残り少なくなり伸び放題だったグリモールド・プレイス広場の中央にある草花も暑さで萎びて濃茶色に干からびていました。12番地の住人は周囲の家の誰とも顔を合わせず12番地そのものも誰の目にも触れませんでした。

グリモールド・プレイスに住むマグルたちは11番地と13番地が隣り合わせになっているという間の抜けた手違いに随分前から慣れっこになっていました。にも関わらず不揃いの番地に興味を持ったらしい訪問者が現れました。

ぽつりぽつりとほとんど毎日のように1人又は2人とこのグリモールド・プレイス広場を訪れてはそれ以外には何の目的もないと少なくとも傍目にはそう見えましたが11番地と13番地に面した柵に寄り掛かっていたんですよね。

そして二軒の家の境目を眺めていて同じ人間が2日続けて来る事はなく当たり前の服装を嫌うという点では全員が共通しているようでした。突拍子もない服装を見慣れているロンドンっ子たちは大概ほとんど気にも止めません。

しかし時折振り返る通りすがりのロンドンっ子たちは「この暑いのにどうして長いマントを着ているのだろう?」と訝るような目で見ていました。見張っているその訪問者たちはほとんど満足な成果が得られない様子でした。

時々とうとう求めていた何かが見えたとでも言いたげに興奮した様子で前に進み出る事がありました。でも結局は失望し再び元の位置に戻って行くのです。9月最初の日にはこれまでより多くの人数が広場を徘徊していました。

長いマントを着た男が何と6人も押し黙って目を光らせいつものように11番地と13番地の家を見つめていました。しかし待っているものが何であれそれをまだ掴み切れてはいないようでした。夕方近くには雨が降って来ました。

ここ何週間もなかったような冷たい雨でした。何がそうさせるのか不明でしたが見張りたちがその時またも何か興味を引くものを見たような素振りを見せました。ひん曲がった顔の男が指差し一番近くの男が前に進みました。

青白いずんぐりした男は前に進みましたが次の瞬間には男たちはまた元のように動かない状態に戻り苛立ったり落胆したりしているようでした。時を同じくして12番地にはハリーがちょうど玄関ホールに入って来た所でした。

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この3日間でハリーは初めてクリーチャーの事を全く考えていませんでした。そのため当初は目の前で起きている事が理解できませんでした。そしてヴォルデモートの分魂箱はハリーたち3人が思ってもみなかった意外な人物の手へと渡っていました。(全3項目)

3-1.この3日間で初めて
あまりの衝撃の大きさでこの3日間でハリーは初めてクリーチャーの事を全く考えていませんでした。とっさにハリーはルーピンが凄まじい勢いで厨房に戻って来たと思ったので目の前で起きている事が理解できませんでした。

ハリーが座っている椅子のすぐ脇では何かの塊が突如として現われ手足をばたつかせていました。ハリーが急いで立ち上がると塊から身をほどいたクリーチャーが深々とお辞儀をしたかと思うとハリーにこう報告をしました。

「ご主人様クリーチャーは盗っ人のマンダンガス・フレッチャーを連れて戻りました」

あたふたと立ち上がりマンダンガスが杖を抜きましたがハーマイオニーの速さには敵いませんでした。ハーマイオニーが「エクスペリアームス!」と唱えるとマンダンガスの杖が宙を飛びハーマイオニーがそれを捕えました。

杖を失って「姿くらまし」できなくなりマンダンガスは階段へとダッシュしましたがロンがタックルを噛ましてマンダンガスは鈍い音を立てて石の床に倒れました。ロンにがっちり掴まれて身をよじりながらこう叫びました。

「何だよぅ?俺が何したって言うんだ?屋敷しもべ野郎をけしかけやがってよぅ。一体何ふざけてやがんだ。俺が何したって言うんだ。放せ放しやがれ。さもないと」

ハリーは新聞を投げ捨てマンダンガスの傍らに膝をつくと「脅しをかけられるような立場じゃないだろう?」と言いました。マンダンガスはジタバタするのを辞め今度は怯えた顔になっていました。ロンは立ち上がりました。

そしてハリーが慎重にマンダンガスの鼻に杖を突きつけるのを見ていました。ここでクリーチャーは「ご主人様クリーチャーは盗っ人を連れて来るのが遅れた事をお詫びいたします」とハリーに謝罪の言葉を言って来ました。

「フレッチャーは捕まらないようにする方法を知っていて隠れ家や仲間を沢山持っています。それでもクリーチャーはとうとう盗っ人を追い詰めました」

マンダンガスを捕えて連れて来るのに3日もかかった理由をこう説明したクリーチャーにハリーは「君は本当によくやってくれたよ」と言い労をねぎらいました。言われたクリーチャーは深々と頭を下げたというわけですよね。

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ルーピンはグリモールド・プレイス12番地を去って行ってしまいました。ルーピンが残して行った「日刊予言者新聞」をハリーがめくっているとリータ・スキーターが書いたダンブルドアの伝記の抜粋が載っていてハリーは「これ以上落ち込んだ気持ちが悪くなる事はないだろう」と読み始めたのですが・・・(全3項目)

3-1.ルーピンが残して行った「日刊予言者新聞」をめくっていると
ハーマイオニーは「ハリー」と名前を呼ぶと慰めるように手を伸ばしました。しかしハリーはその手を振り払ってハーマイオニーの作り出した火を見つめながら暖炉のほうに歩いて先学期のあの出来事を思い出していました。

一度この暖炉の中からルーピンと話をした事がある。父親の事で確信が持てなくなった時だ。ルーピンは慰めてくれた。今はルーピンが苦しんでいる。蒼白な顔が目の前を回っているような気がするとハリーは思いました。

後悔がどっと押し寄せて来てハリーは気分が悪くなりました。ロンもハーマイオニーもまた黙っています。しかし2人が背後で見つめ合い無言の話し合いをしているに違いないとハリーはそう感じて後ろに振り向いたのでした。

すると2人は慌てて顔を背け合いました。ハリーが「判ってるよ。ルーピンを腰抜け呼ばわりすべきじゃなかった」と言うとロンは即座に「ああそうだとも」と言いました。でもハリーはこう言葉を返したというわけですよね。

「だけどルーピンはそういう行動を取った」

これにハーマイオニーが「それでもよ」と言いハリーが後の言葉を引き継いで「判ってる。でもそれでルーピンがトンクスの所に戻るなら言ったかいがあった。そうだろう?」と言いつつ願わずにはいられなかったのでした。

ハリーの声には「そうであって欲しい」という切実さが滲んでいました。ハーマイオニーはそんなハリーの心情を判ってくれたようです。しかしロンは曖昧な表情でした。ハリーは足元を見つめて父親の事を考えたのでした。

父ジェームズは自分がルーピンに言った事を肯定してくれるだろうか?それとも息子が旧友にあのような仕打ちをした事を怒るだろうか?ルーピンが持って来た「日刊予言者新聞」がテーブルに広げたまま置いてありました。

一面の自分の写真が天井を睨んでいます。ハリーは新聞に近づいて腰を掛け脈絡もなく紙面をめくって読んでいるふりをしました。まだルーピンとのやり取りの事で頭が一杯で文字は頭には入りませんでした。するとでした。

新聞の向こう側ではロンとハーマイオニーがまた無言の話し合いを始めたに違いない。そう思いつつハリーは大きな音を立てて紙面をめくりました。するとダンブルドアの名前が目に飛び込んで来ました。家族の写真がある。

その意味が飲み込めるまで一呼吸か二呼吸かかりました。写真の下にこう説明がありました。

「ダンブルドア一家。左からアルバス。生まれたばかりのアリアナを抱くパーシバル。ケンドラ。アバーフォース」

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